第2話 ミシラヌバショ
――
――――
はっ
あれ俺なんで寝てたんだっけ?
と言いますかここはどこ??
目が覚めて真っ先に目に入ってきたのは見知らぬ天井。落ち着いて周囲を見渡してみると、どうやら自分の部屋とは違うみたいだ。眠りに落ちる直前のことを思い出そうとするが、記憶にもやがかかったように思い出せない。なにがなんだかわからないといった表情が自然と出てくる。
頭に疑問符を浮かべながらも、ひとまずここに居ても何も解決しないので、寝ていたベットから立ち上がりおそるおそる部屋を出た。
部屋を出てすぐ横にあった階段を降りると、この建物の一階部分を占めていると思われる場所に出た。周りを見ると壁一面に様々な張り紙が掲載されている。
書かれている文字が日本語であることから、特に疑問は抱かずに、張り紙の一枚に目を通してみると、
五月の庭産 白露草 大量募集!!
うん。まったく意味がわからない。
隣の張り紙を見ると、
十月の迷宮 攻略隊 隊員若干名募集 詳細はオクトーバーシティにて
ますます意味がわからない。
俺がおかしくなったのかなどと考えながら張り紙を見て困惑していると、背後から大きな声がした。
「おう旅人さん!目が覚めたんか!」
旅人さん?
辺りには俺以外誰もいないし、明らかに俺に向けられた声なのでとりあえず振り返ると、そこにはホテルの受付のような仕切りの向こう側に、スキンヘッドに、顎から頬にかけて大きな傷を持つ、あきらかなコワモテのおっさんが佇んでいた。
「おーい大丈夫か?」
失礼だとは思いながらも、あきらかに一般人ではない見た目をしたおっさんが目の前に居るとあっては、警戒してしまう。
俺なんか事件にでも巻き込まれたのか?
どうする、逃げるか。
一瞬にして、色々な考えが頭をよぎる。
ガシッ
「ほんとに大丈夫か!?」
我にかえるとおっさんは俺の肩を掴んで心配そうな表情をして俺の顔を見ていた。
「あっ、え、大丈夫す!なんも痛いとことかないんで」
「そうか!ならよかった」
コワモテの顔に似つかないとても気持ちのよい笑顔だ。
その笑顔を見て少し安心感を覚えた。
「あの~変なことを聞いていると思われるかもしれないんですけど、ここってどこですか?」
自分で質問をしていて、変なことを聞いていなと思い半笑いになってしまう。
「あーん?やっぱ頭とか打ってんじゃねえか?あとで医者呼んでやるからちゃんと診てもらえよ。」
「ここは、キセツの始まり四月の都 フローラルだぞ」
やばい、本当に頭を打ったかもしれない。
「あのー白水町じゃないんですか?」
「白水町?オレも色々旅してきたけどそんな地名聞いたことねーな」
「……えー、じゃあもしかしてここは日本じゃないとか? あはは」
覚悟を決めて聞いてみる。
「日本? なんだその変な名前」
「「ファンタズム」 の間違いだろ?」
あはははは。あーだれか助けてくれ
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