第20話

計画は、失敗した。

ガードマンの天見が所持していた携帯電話が、偶然か彼の自宅の留守番電話と繋がり、その時の銀行内の様子が録音されて、その中に鷹田達の会話の一部が入っていた。それを聞いた天見の家の者が警察に届け出て、鷹田達の計画が公となった。

当初は警察もマスコミも鷹田達を被害者として扱っていた。しかし警察が計画の事を知ると、警察は鷹田達を逮捕した。それを切っ掛けに、鷹田達を持ち上げていたマスコミも手のひらを返して、一斉に鷹田達をバッシングした。

警察が逮捕しに来た時の反応は様々だった。鳳は逃げ出したが、あっさり逮捕され、鶏冠井は、屁理屈を言ってごねたが、それも警察には全く通じず、呆気なく逮捕された。既にもう一人の銀行強盗として逮捕されていた雛形は、再逮捕される時、何が起きたのか解らない表情になっていた。鵜兎沼も何が起きたのか解らない表情をしたが、大人しく逮捕された。ただ鵜兎沼の両親が保身の為、逮捕された娘を絶縁した事で、皮肉にも鵜兎沼の願いは叶ってしまった。鷹田は、素直に逮捕された。その潔い態度に警察は、正直疑ってしまった。

マスコミは、日々この事件を伝えた。事件の経緯は勿論、鷹田達の経歴や周囲の評判、中には、ただ鷹田達が利用していたという理由だけで、事件とは全く関係ない物や場所まで取り上げた。まるでアイドルのファンが、それぞれの情報を出し合い、自慢するかのようだった。しかしあるスキャンダルによって、鷹田達の事件は影を薄め、いつの間にか忘れられてしまった。

そんな世間を他所に、鷹田達の取り調べは、それぞれ進められていた。

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