第4話
魔王の心が折れそうになったワケ Ⅰ
エストは薄暗い
身に
両腕は金属製の
両足首にも
そのためにエストは、太腿を密着させる事は出来ても両脚を完全に閉じる事が出来ないでいた。
金色に光る腕輪の様な物が、右の手首に
その腕輪の持つ力によって彼女は、まったく魔法が使えないでいた。
「まったく…
エストの正面に座っていた男は、彼女の
昨日の事である。
エスト達はバドシ経由で共和国から小規模な
ミイトとサウムは、それぞれ別件で行動中であったが、エストが単独で護衛の任務を
以前の護衛任務では実際に
だからといって今回の仕事を
隊商の一員である一人の女性から水分補給の為にと渡された
エストが目覚めた時には、
"こんなもの!"
エストは目覚めてから腕輪に、ありったけの魔力を注ぎ込んで腕輪が抑えられる魔力の限界を突破し破壊する事を試みていた。
エストは、いかなる魔法を封じる方法であっても大抵のものは、父親には及ばないながらも強大な自分の魔力で
しかし、神器の腕輪はビクともしなかった。
こんな特殊な能力のある貴重な神器…たかが隊商狙いの盗賊が、持っているには
エストは嫌な予感がしていた。
座っていた男が、立ち上がり近づいて来てエストの口枷を外した。
ミイトに似て浅黒い肌の色をしているが、もっと大柄で筋肉質な男だった。
「…神器?貴方、今…神器って言ったわね?」
自由に話せる様になったエストは、男に質問をする。
「お前を御所望の、とある方に貸して頂いてね。俺の本来の仕事は、この
男はニヤニヤしながら口枷をくるくると指で回しつつ答えた。
エストは男のお
「隊商の人達は?」
「…
男は楽しそうにエストの質問に答えた。
ここまでの男の話からすると
「…ここは
「
最悪の状況だった。
エストは心の中で舌打ちをする。
男はエストの胸を服の上から片手で掴んだ。
彼女は
身をよじって
「触るな!」
エストは男を睨むが、彼は意に介さない。
「魔族の女を好き勝手にできる機会なんて滅多にないからなあ…。しかも王族だって?…なるほど
男はエストの事を
男は今度はエストのシャツを少し
「依頼主から味見くらいは、許されているんでね…。今日一日だけは、あんたの身体を俺の好きにさせて貰うさ。明日の午前中には依頼主の奴に引き渡される予定だ。後は、そいつにタップリと可愛がって貰うといい…。」
「…依頼主って誰なの?」
「あんたと同じ北の魔族…しかも魔貴族さ。亡命してきた
「仮にもは余計よ。」
エストは、そう言いながらも神器の話を聞いて自分の持つ白い羽根の事を思い出した。
エストは目を
彼女の鎧と荷物は部屋の反対側の
羽根は荷物の中だろうが腕輪を付けたままでは、魔力を込めて跳ぶ事は
腕輪を外す為には、先に手枷を外して手を自由にする必要がある。
機会は来るのだろうか?
男を上手く
そんな事を考えていたエストに男は、腰から後ろに手を回して彼女の尻を掴んだ。
いきなり、そんな
男は驚く彼女に構わずに、そのまま尻を揉みしだき始めた。
「いやっ!」
エストは身体を揺すって逃れようとするが、男の手は離れない。
彼女は相手を睨むと顔に向かって
男の手がエストの尻から離れた代わりに彼女の頬に向かって
口の
こんな小さな傷ですら今の彼女は、回復魔法を唱えて
「魔族でも人型の血は、赤いもんなんだな…。」
エストの顎を掴んで顔を上げさせて唇を見ながら、男は言った。
もう片方の手でナイフを持ち切っ先を彼女の目の前に立てる。
「
男の構えたナイフの刃先が、ゆっくりとエストの眼球に近付いてくる。
目玉を潰されてしまっては、回復魔法でも治せない。
しかし、エストは恐怖で固まって身動きが取れないでいた。
切っ先が眼球の直前の位置に来た。
そのまま刺されてしまう…とエストが思った瞬間にナイフは、ゆっくりと下に降りてシャツの
エストは悲鳴を上げた。
男はシャツの切れた
その、あられもない姿と大きく美しい形の乳房を見た彼は、口から
男はナイフを
エストは信じられない者を見るかの様な瞳のまま男の行為を黙って受け入れるしかなかった。
顔を離した男は両手をエストの股間に近付けようとする。
「いやっ!…もう、やめて…。」
エストは俯いたまま目を瞑って涙を滲ませ、その台詞だけを絞り出すかの様に言った。
男の両手が、あと少しでエストの
男の指は何者かによって全て斬り落とされる。
男は指の無くなった自分の両手を目の前に寄せて大きな声で痛みに泣きながら
そして、いつの間にか男の横にいた別の男を視界に入れた途端に首に大きな衝撃を感じ
新しく来た男は暗がりから完全に姿を現わすと、顔の下半分を覆っていた布を指で引き下げ素顔をエストに見せる。
「大丈夫か?それにしても何だって、こんな所に?」
ミイトだった。
エストは耐えきれずに涙を流し始める。
ミイトは男の身体を調べて鍵の様な物を見つけると彼女の手枷と足枷を外した。
彼女は
ミイトは裸のままのエストの胸の感触に
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