第2話 レイナ 魔女裁判にかけられる
村の集会場は暗く淀んでいた。じめじめと黴臭く湿気を帯びた地下室に四人は連行される。タオの盛大なため息が聞こえる。
村人1 「夜になったらここで裁きにかけてやる」
村人2 「それまでおとなしくしていろよ」
四人は牢屋の中に押し込められた。ガチヤンと重い鉄格子が降り、鍵がかけられる。村人たちは四人を置いていなくなる。
シェイン「かなり悲惨な物語になってますね」
タオ 「間違いねぇな」
レイナ 「魔女か……、ふっ…」
タオ 「もしかして…元王女様のプライドが傷ついてるわけ? 」
エクス 「レイナは全然魔女に見えないよ! 大丈夫だよ」
レイナ 「気にしてないから…」
レイナは少し傷ついているようだった。
暗闇の中から湧き上がるように異形のかたちをしたヴィランが現れた。
レイナ 「現れたわね」
タオ 「おとなしく集会が始まるのを待ってたら、死んじまうな」
四人は次から次へと湧き上がってくるヴィランの群れを倒していく。全てのヴィランを一掃した時、薄闇の中から先ほどの老婆が現れた。
「大丈夫かい? ぎゃっ! 生きている!! 」
老婆は蝋燭に火を灯して、牢屋の中を照らし出した。蝋燭の炎に照らされた老婆の顔はこの世の者とは思えない不気味さである。
エクス 「助けに来てくれたんですか? 」
老婆 「いや……見に来ただけ…気になるから……」
四人 「えっ…? 」
四人はざわめく。
老婆 「今まで……捕まった余所者は全て、『魔女』と断定され、そして死んだ!! ……から結末が気になって…来てみたわけよ」
シェイン「お婆さんの心が魔女です」
タオ 「典型的な魔女だな」
老婆 「ひぃぃぃぃ!! 」
老婆が絶叫した。
足元を見ると、次々とヴィランが湧き上がって老婆を取り囲んでいる。
老婆 「ひぃぃぃ!! 殺される! ちょっとあんたたち、牢屋の鍵を開けてあげるから助けてよ! 」
老婆はつぶらな瞳でお願いするようにタオを見ている。
老婆 「あなた、とても強そう♡」
タオ 「助けるか? 」
タオは少し迷っている。
シェイン「見殺しにしたら、魔女の嫌疑が深まりそうですね」
エクス 「可哀想だよ! 助けてあげようよ! 」
タオはにやりと笑った。
タオ 「仕方ない」
老婆 「あんたたち、頼むからね。あたしを見殺しにしたら承知しないよ! 」
ガチャンと音を立てて牢屋の扉が開いた。
四人は武器を片手にヴィランに襲いかかると、あっという間に倒してしまった。
老婆 「強いのね。こんな旅人は初めて! 」
老婆は熱を帯びた瞳でタオの腕に抱きつき、見上げている。
老婆 「お前たちなら村に巣くう闇を取り払うことができるかも」
タオ 「お婆さんが僕の闇です…」
老婆はタオの手を握り締める。老婆の顔が余りにも近くてタオはため息をついた。
タオ 「…近い!!」
暗闇の中、足音が響いて村人たちが入って来る。
村人1 「お前たち! さては婆さんをたぶらかして外へ出たな! 」
村人2 「見たぞ、見たぞ」
村人1 「このスケベ小僧め! 」
騒ぎを聞きつけたのか村人たちが集まって来る。
村人1 「お前、婆さんとできてるな? 」
タオ 「な!? おぞましいほどバカなことを!!」
村人2 「その手はなんだ? 熱く手を握り合っているじゃないか!? 」
老婆 「なんてことを!? 」
タオ 「婆さん、何とか言ってくれよ」
老婆 「全て合意の上です♡」
四人 「!!」
四人はざわめいた。目の前の老婆は本当に信用のならない老婆である。
村人1 「子供たちを攫い、婆さんを誑かす、とんでもない魔女とその仲間たちよ! 」
村人3 「これより魔女裁判を始める! 」
シェイン「はぁ~、どうせすぐ死刑とか言うんですよ」
レイナはエクスの耳元に唇を寄せた。
レイナ 「こうやって何人もの旅人が罪を被せられたのね」
エクス 「タオ、モテてるよ♪」
タオ 「嬉しくない」
村人たちは四人を取り囲んだ。村人たちの顔は幽鬼に取り憑かれたように青ざめている。
村人1 「魔女とその下僕たちよ、裁きを言い渡す」
村人2 「お前たちは有罪だ」
村人3 「次の新月の夜に火炙りにしてやる」
シェイン「ほら火炙りキター! 予想通り! 」
村人の宣言と共に老婆の悲鳴が上がった。
老婆 「ぎゃああああ!! また出てきたよ」
闇の中からヴィランが湧き上がる。
村人1 「化け物が出た~!! 」
恐れをなした村人たちはちりぢりに逃げていく。
レイナ 「倒すわよ」
エクス 「よし行くぞ」
四人は次々とヴィランを倒していく。
シェイン「ふぅ~、沢山でてきますね。疲れました」
タオ 「地下の底から湧いているのか? この蓋はなんだ?」
タオは重そうな鉄の蓋をずらす。
エクス 「!? 」
暗闇の中をキラキラと緑色に光る妖精の群れが現れた。ガラスの様に高音質な羽音がさざめいている。
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