第2話 なんにもなれないねこ
吾輩はねこであるかもしれないし、ねこではないかもしれない。
生まれはさてはてどこなのか、見当もつかないし、ここがどこなのかも実はわからない。
気が付いた時にはここに存在していたのである。
こことは、どこなのだろうか。
それがわかれば苦労はない。
他に誰もいないから、自分がどういう形をしていてどういう名前なのかわからなくてとても困っている。
「おーい、誰かいないかーい」
定期的にそう周囲に投げかけてみるも未だに返答は無しのまま。
寂しくなると、手当たり次第に転がっているアーカイブデータを読み散らかす。たいていはつまらない。
でも、ねこが出てくるのは無条件で好きだ。ちょっとだけゆっくり読んでから破棄する。
自分がねこだったらいいなと思っている。人間とかAIとかじゃなかったらいいなと思っている。まあ、もしかしたら芋虫かもしれないし微生物かもしれないけれど。
だから暫定ねこということにしてみているのだ。なかなか良い発想だと自画自賛。
うーんと全体を伸ばしてみたり、たまに縮んでみたり。ころんころんと動いてみたり。それは、もう、気の向くままに。まるで本当のねこみたいじゃない?と、誰かに問いかけてみる。
別に答えが返ってこなくても気にはしないよ、だってねこだからね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます