第4話 混沌

 5時間後。アマテラスと共に、蛭子ひるこが現れるのを待つ一行。

 3時間で移動してきた一行は、1時間ほど観察に時間を費やした。

 そして、怪しい点がないことから正面から入ることを決め、アマテラスに謁見し、今回の事情を話した。

 アマテラスは協力的であったが、"カオステラー"を蛭子連れてくるという点に違和感を感じているようだった。


 約束の時間。そこに現れたのは漁師風の男を連れた蛭子。

「連れてきてあげましたよ」

 蛭子がそう言ったその時。

 漁師が、倒れた。

「!?」

 そして……

「フフ……。その方の目的は全ての神を思いのままにすること。貴方は憐れですねぇ?」

「!!!」

 そこに現れたのは一人の男。

「恵比寿になりたくないのでしょう?」

 男は蛭子以外には目もくれず蛭子に話しかけた。

「言ったはずですよ?力を貸す、と」

 その言葉に、レイナたち一行は男の言葉の意味を悟り、息をのんだ。

「……俺は」

「……あなたがカオステラーになれば自由になれますよ?」

 いいよどむ蛭子に、男は畳み掛ける。

「ロキ!いい加減にしなさいよ!!」

 レイナは、しばらく黙ってみていたが、ふと我に返り、男ーーロキを止めようと言葉を発した。

「……とりあえず、戻りましょうか」

 ロキはレイナを一瞥し、蛭子に話しかけた。

「……」

 蛭子はなんの反応もしめさなかったが、無言で身を翻した。

 その姿にロキは満足そうにレイナたちに向き直った。

「それではみなさま、ごきげんよう……」

 レイナは「待ちなさい!」と手を伸ばすが……

「クルルゥ」

 ロキは置き土産にヴィランを呼び出していた。

「くそ、ヴィランかよ!」

「とりあえず今はヴィランを倒すよ!」

 タオとエクスの言葉にレイナは離れていくロキを目で追うのをやめた。

「えぇ……こんなやつら、さっさと倒すわよ!」




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