第1話 出会い

 俺の名は"蛭子ひるこ"。

 2柱いる出来損ないのうちの1柱。

 アイツの運命を聞いたことがある。

 話によると未来では島になっているらしい。

 俺は名を変えて別の存在として生きる未来らしい。

 別に疑問なんてなかった。

 疑問なんてなかったはずなのに。

 捨てられたあの瞬間、何かよく分からない感情が芽生えた。

 そして、復讐をしようと思ったのに。

 あいつは乗り気じゃなかった。

『勝手にやれよ。僕を巻き込むな』

 いいさ。俺は一人でもやって見せる。

 ……そう、思ってたんだけどな。



 何にもできやしねぇ。

 決意がたんねぇのかな。

「力を貸してあげましょうか?」

 謎の男のその言葉を、俺は無視した。

「……フフ、まぁいいでしょう。またお会いしましょう」

 怪しい雰囲気の男だった。



 運命に逆らう。

 それは思った以上に大変なことだった。

 そして、それから出会った不思議な四人組。

「カオステラーの気配に似てるなー……とは思ったんだけど。ヴィランもいないし、気のせいだったのかしら……」

 レイナと名乗った少女の放つのは聞きなれない言葉ばかり。

「とりあえず、誰かからこの想区について詳しい話を聞きたいよね」

 俺はエクスと名乗った少年の言葉に1つ思い付いた。

「俺が案内をしてあげよう。……来客なら、迎えてくれるかもしれないし」

 とりあえず、俺が一人で行くよりマシなはず。

「おう、頼むぜ。蛭子、だったか?」

「あぁ。しかと頼まれた」

 俺に頼むと言ってくれたその言葉が嬉しかった。

「蛭子も、なんかあったら何でもいってくれよ。力を貸すぜ」

「そうですね。シェインたちにできることなら、案内のお礼もかねて手伝いますよ」

 青年タオとその妹分らしいシェインという少女。

 全く似ても似つかない雰囲気の一行なのに、なぜかあの男を思い出した。

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