第6話 姫とゲーム地獄
◆後輩
あら、意外とシックな部屋に住んでるのね。
◆男
お宅探訪が目的じゃないだろ、お姫様よ
◆後輩
それやめてくれる? いい思い出がないの。
◆男
いいこと聞いちゃったなおい。
◆後輩
これがうわさのカメね。こんにちは。
◆男
そいつは極度の人見知りでな。そうそう顔を見せては
あれー?
◆後輩
あら、意外ときれいな顔してるわね。カメは飼い主に似ないのね。
ねえ、あなたの飼い主の弱点って知らない? 一生あたしの足なめる羽目に
なる系のやつ。ふーん。へえー。そう
◆男
あ、キウイ! てめえ
◆後輩
キウイっていうのね。この子。
◆男
似てるだろ?
◆後輩
......それよりカメがマジで喋ると思ってたほうに驚きね。
◆男
喋るだろ。毎日話しかけてるからな!
◆後輩
帰っていい?この異空間あたしには早すぎるみたい
◆男
その異空間とやらにどうしても行きたいって言ったのはお前だよな? な?
◆後輩
さ、そろそろ始めましょ。時間もないことだし。
◆男
おーい。話聞いてますかー? 姫様ー? あ、その座椅子は俺の定位置だぞ。お前はそっち。ベッド。
◆後輩
こっからだとテレビ見にくいわ。
◆男
安住の地は己で探すように。コントローラはワイヤレスだから。
さて、やるか
◆後輩
......
◆男
......しかし、どういう吹き回しだ。急にゲーム強くなりたいなんてよ。
◆後輩
大会出ようと思って。試せることは試したいし。
◆男
あー。ゲーム友達作るやつな。ま、いいと思うよ。でもなんで俺。それこそネット対戦しろよ。俺とキウイの愛の巣に入ってくるな。
◆後輩
率直にキモイわ。いいじゃない別に。あたしが誰とゲームしようと。
◆男
さすが姫。
◆後輩
言わないで。あ、負けた。何気強いわよね、先輩
◆男
そりゃあ、あれだけサークルつぶせばな。
◆後輩
それは関係ないでしょうが。だから、まずは先輩に勝ってからってことで。
はいこれ。
◆男
なぜその手にチューハイ。しかもこれ9%くらいある、ストロン
◆後輩
ハンデよ。先輩はこれからあたしに勝つたびに一本ずつそれを開けてくの。
◆男
は?
◆後輩
それであたしが勝ったら終わり。
◆男
(なら)
◆後輩
あ、わざと手ぇ抜いたら。先輩の代わりにキウイが飲むから。残り全部
◆男
あ、冷蔵庫見たらこいつで一杯じゃねえか! てめえ卑怯だぞ。
◆後輩
ふふん。リアルのステージ選択からゲームはもう始まってるのよ。せ、ん、ぱ、い。
◆男
頼むから、早く強くなってくれ! 頼むから!
---------
◆男
よし! そこだ。いいぞ! うん、うん。そうだ。ああっ!おしい。
◆後輩
......自分でぶちのめしといてよく言うわね。はいこれ。何本目だったけ?
◆男
三本目!
--------
◆男
そう! そう! おーいいねえー やるぅ!
今度はもうちょっと攻めてみようかぁああ!
◆後輩
(ちょっと飲ませすぎたかしら。ってまた負けた)あ、ちょっと。
◆男
グビグビッ!キウイは俺が守る!
-------
◆男
いやっほーい!もう一回っ! もう一回っ! 姫が勝つまでもう一回!
◆後輩
(これ以上素面だと気が狂うわ。あたしものも)
◆男
......ZZZZ
------
◆男
いつつつ。もう朝か。おい姫様よ、起きろ。
◆後輩
ううん? あれ。ここは
◆男
俺んちだよ。ったく終電前に帰れって言ったろ
◆後輩
言ったっけ?
◆男
言ってないな。で、お前は俺に勝ったのか
◆後輩
......憶えてないわ。だから
◆男
また今度とか言うなよ? 百歩譲ってもウチは絶対だめだ。
というかこれはお前のためにも言ってんだぞ?
◆後輩
勘違いされるからって? どこの誰よ。そんな世界一つまらないボケかましたの
◆男
(お前の女神さまだよ)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます