第一章:無臭無色無毒無害の水。
プロローグ:雨下の雑踏、伍する雨傘。
すっかりと暑くなってしまったものだと思う。特に、毎日繰り返される”今日この頃”は、昨日よりも暑いように感じている。
そんな日々の麻痺しきった感覚を洗い流すように、庭の木の影に座り込んで、緑色のホースを握り、水を被る。早朝とは言え、先日の夜から覆いかぶさって去らない雲の下で、気温も十分にあり、湿度も高い。さらに習慣づけられたラジオ運動をした後だ。体はすぐさま火照り、湿気に混ざるようにして汗をかいてしまう。
そうして熱くなった体を、水を使い日陰でゆっくり冷やす。それが如何にも気持ち良く、それをしている自分に対しても、健康的な生活をしていると、彼はそう思うのだ。
じじ臭いと、はじめの頃は家族にも友人にも言われていたが、慣れてくればそれも無く、次第に似たことをする友人も増えた。時たま父や姉ともラジオ体操をしている。それくらいには、この習慣にも馴染んでしまった。
夏休みの中頃を過ぎて、高校の課題も早々と済ませてしまって、あとは何をするわけでもなく、ルーティン化してしまったようなこの日々の余裕を持て余しているような感覚がないわけでもない。
その理由は大いに二つある。一つは、彼の家にはゲーム機の類は一切無く、最近話題に上がるような漫画も無ければ、娯楽のための道具と呼べるものは何一つない。唯一あるものと言えば、従来型の携帯電話機……いわゆるガラケーであり、連絡手段としてでしか使っていない、とてもではないが娯楽用とは言えないものだ。
そして、もう一つの理由はというと。
(……二百、三十円)
朝の運動を済ませてみても、何度数えても、ポケットの中には二百三十円しかないのであった。
夏休み中に友人たちとカラオケやゲームセンターなどへ行っていたら、いつの間にやらこの惨状へ陥っていたのである。勿論、彼自身も多少の自制はしていたのだが、もう少しもう少しと財布のひもを緩め続けてしまい、結果的には片道分の電車賃しかないような状況になってしまっている。
結局、夏の暑さとは対照的に、涼しくなってしまった財布は机の上に放り置いてしまい、埃を被り始めている。
「……どうしたもんだか」
家の前にある公園で遊ぶような歳でもなければ、友人の宿題を手伝うような面倒くさい真似をしたくもない――――ただ、結局夏休みの最後辺りに呼ばれるのだろうが――――それに、恩を売るというのは一つの手段だが、相手が望んでいるかもわからないのに助けようとして見返りを求めるのは、何か違うとも思う。
つまり、今は特にすることもなく、ただただ時間が過ぎるのを待つしかないのである。今頃になってアルバイト願いでも学校に出すべきだったと思ってはいるが、時すでに遅しというべきか、後悔先に立たずというべきか、ともかく、八方塞がりなまま、無為に時間が過ぎようとしていた。
そんな時、セミの声に交じって、ポケットの中からくぐもった呼び出し音が鳴る。件の友人、
「どうした、宿題の手伝いか」
夏休み中の彼に対しての皮肉も込めて、軽い調子で電話に出る。
向こう側からは苦笑交じりの否定が返ってきたが、特に驚くわけでもなく、鈴島は用件を話し始める。
『宿題の件も、あるっちゃあるんだが、まずはだな……アルバイトというか、なんというか、もし暇だったらでいいんだが、暇だったら働かないか? もちろん学校にはぜってーばれないバイトだ』
「ん、紹介してもらえるならありがたい。仕事の内容は皿洗いとかか?」
『いや、そういうのじゃないんだが、説明しづらいというか、電話越しだと仕事名もどうかなというか…………あ、言っていいですか。ありがとうございます。…………失礼、話を戻すぜ』
どうやら、向こう側では誰かいるらしく、鈴島は話の調子を変えて、少し潜めたような声で、仕事の話を始めた。
『”
1
赤いロデオの電飾看板が掛けられた、今時見ないようなクラブハウス。その廊下、ショッキングピンクとナイルブルーで構成された、ダズル迷彩のような縞模様の壁紙。その壁紙を赤く照らす床下照明は、目を酷く刺激し、サイケデリックな雰囲気を醸し出している。率直に言って、頭痛を起こすのではないかと思う程度には、彼にとって有害な景色だった。
「素晴らしいセンスだな。美しすぎて目が焼けそうなくらいだ」
「気にすんな、ここは一般客用の廊下だからな。頭をちょっとおかしくするために作られてるから仕方ねーの」
早く出よう。鈴島はそう言って一般通路を途中で抜けようと、厚い扉で仕切られたスタッフルームへ彼を案内する。
そこは先ほどの廊下とは打って変わって落ち着いていて、灰色の壁紙に真っ白のLEDライト等、業務用の廊下に過ぎない空間があった。むしろ、荷物も整理整頓されており、清掃も行き届いているようで、少し前までの彼の想像とは違っていた。
「ディスコのバックヤードとかって小汚いイメージだったんだが、割ときれいなんだな」
「ああ、ここはVIP客室のスタッフ用直通廊下でもあるからな。そりゃあ、いつでも使えてサービス満点って程度にはしとかないと、今時儲からないってことらしいぜ」
そんな説明を受け、相槌を打ちながら鈴島を追って歩いていく。
今、彼と鈴島がいる場所は、市街の中心部にあるオフィスビルで、その中に設けられた、やや時代遅れのようなディスコだ。鈴島曰く、完全出来高制のアルバイトらしく、ただ街を歩き、写真を撮って、それを担当者に送信するだけでその写真が評価され、給料を貰えるという話だった。
正直、うますぎるような話だとも思ってはいたが、如何せん彼の懐は薄く、背に腹は代えられないといったような感じで、彼はついて来てしまった。
そうこうしているうちに、廊下の突き当りにあった下り階段へと連れられ、鈴島は階段の前で立ち止まる。
「話は通してあるんだが……ま、中に入ってみりゃあわかる。そこで仕事の説明を受けてくれい。じゃあ、また後で」
「おう、ありがとうな」
そう言って軽く手を振り、鈴島の背中を見送り、前へと向き直った。
そして彼は、唾を飲み、ため息を吐いた。
(しかし、まあ、これは)
先程の廊下とは打って変わって、狭く、暗く、鉄筋の露出したコンクリートの壁と、滑り止めもない階段。踏面の端には数個ほど空き缶が置かれていて、その上には煙草の吸殻と埃が積もっている。
(背に腹は代えられないが、ここまでうさん臭いと、正直しまったなと思うぜ)
そんな気持ちを抱えて、数十段程度の階段を降りて曲がり、また数十段ほど降りて、ようやくドアの前へとたどり着く。そしてドアノブをつかみ……少し考えてから開けようとして――――……頭に衝撃が走った。
唐突な衝撃と頭部への痛みに、頭を抱えるようにして彼は階段へと倒れこむ。目の前で開いたドアの奥からは、誰かの慌てた声が聞こえていたが、そんなことよりも彼は。
(やっぱり、ろくでもない仕事になりそうだ)
そんな苛立ちと愚痴めいた後悔を抱えて、吐き気やめまいに苛まれながら、彼は暫く、そうして座り込んだ。
2
大分落ち着いたといったところだろうか。あれから数十分ほど過ぎて、彼はようやく調子を取り戻し始めていた。
あの時、タイミング悪くドアを開けた主――一見しても普通の中高年の男性で、どこにでもいそうなサラリーマン風の地味な男――は、ばつの悪そうな顔をしながら、お詫びとばかりに炭酸ジュースを勧め、コップになみなみと注いでいる。そのジュースと、何かの書類を受け取りお礼を言うと、男は先ほど事への詫びだと言って頭を下げ、やや思慮にかけたような物言いで謝り始める。
「いや、すまない。どうにも待ちきれなくてね。足音が聞こえたものだから、つい勢いよく開けてしまった」
「いえ、俺もドアの前で突っ立ってましたし……それに、もう大丈夫ですから」
ならよかった。軽くそう返して、スーツを着た男性は栄養ドリンクを一気飲みしている。先ほどとは変わって、まるで、済ますべきことは済ませた、というような口ぶりと行動である。その態度に、手のひらを返されたようなというか、少なからず不快感を覚えはしたが、表には出さず、まずはアルバイトの件について質問をしようと彼は男に訊ねようとした。
しかし、男はそれを見越していたのか、特に前置きもなく仕事の内容を話し始める。
「君の言いたいことはわかる。まずアルバイトの内容についてだが、書類に沿って説明しよう。一枚目は飛ばして二枚目を見てくれ」
「はあ」
戸惑いの混じった返事をして、言われたとおりに二枚目を見る。カーボン紙らしき一枚目の表紙には何もなく、裏にも特に何もなかったため、その言葉に特に疑いは持たなかった。
二枚目にはいくつかの確認事項が記載されており、彼が二枚目を読み始めようとすると同時に、男は説明を始めた。
「まず確認だが、一項にある通り、この仕事で撮影した写真と、その端末は全て私に預けてくれ。送信するのではなく、直に渡してほしい。端末に関しては私からカメラを支給する」
そう言って、男は一眼レフカメラとSDカードを渡す。
彼はそのカメラを受け取ると、寸の間をおいて、どこか懐かしそうに眺めていたが、男の咳払いに反応して、再び紙へと目を向けた。
「次に二項から八項までだが、これらは建前上のもの。まあ個人情報とか雇用条件とかそんなものだ。適当に読んでおいてくれ、文句があったら私が受け持とう」
「……はあ。わかりました」
「わかったなら早速仕事に行ってきてくれ。報告は適当な合間を見て暇な時に来てくれればそれでいい。では、よろしく」
口早に、切り上げるように話を終わらせ、男は半ば追い出すように彼の背中を押す。
しかし、ちょっと待ったと彼は言い、振り返った。
「すみません、名前を教えていただけませんか? 今後、合う時にも、話す時も楽だと思いますし」
「ああ、そう言えば忘れていたよ。別に必要も無いと思うが……
「弓寺さんですね。……今日から、よろしくお願いします」
渡された資料を片手に、彼は部屋を出る。
そして扉を閉めると、弓寺はため息を吐き、心の中で愚痴をこぼす。
(まだ、爪は甘いか)
表情にも出さず、しかしどっと疲れたように椅子に座り込んで、今度は一息を吐き、未だ暖かいままのコーヒーを口にした。
3
外では雨が降っていたらしい。アーケードは独特の雨音を強く鳴らし、それが中々に勢いのあるものだということが体感できる。幸いにも折り畳み傘を持っていたため、帰れなくはないが、しかし、今帰ったとしても何をするわけでもなく暇なため――――
「で、仕事の流れとかはあるのか」
道の隅のベンチに座り、彼と鈴島はベンチに座り、彼は一眼レフを、鈴島はスマートフォンを操作しながら、会話を続ける。
「流れってか……まあ、資料のまんまだよなあ。今時いねぇけど、コンビニとかでたむろしてたり、肩揺らしながら歩いてるグラサンだったり、歩きたばこしてたりみてーな。とにかく、条例とかに触れてるやつでもいいし、ヤバそうなやつでもいいし、そういうのをパシャッと写真に収めて、提出。量にもよるが、数十分もすれば指定の方法で給料が払われるから、それで終了。なんなら暇な時に通行人をスマホで撮るだけでもいいし。あ、データがSDカードに入ってさえいればだけどな」
後は任せると言わんばかりに、鈴島は腕を広げて背伸びをする。しかしそんな態度とは逆に、おいおいといった様子で、彼は質問を続ける。
「今更だが、この仕事自体が法律に触れてるじゃないか。それについてはどうなんだ」
「まあまあ落ち着けよ。資料にもあったろ、一応公務の類だって。警察のパトロールの手伝いみたいなもんだよ」
「そんなもんかね」
「そんなもんさね」
曖昧な応答を済ませて、鈴島は例を見せると言い、一人の主婦の後姿をスマートフォンで撮る。そしてその写真を表示し、彼に見せると、ぺらぺらと主婦について話し始めた。
「この人は、三十六歳の兼業主婦さんだ。和菓子屋さんで働いてる。夫との関係はやや冷え気味、娘さんは中学生で少し気難しい年ごろらしく。今持ってるバッグなんかも古いやつで、普段使いのバッグは娘さんに貸してやってるらしいな。引っ越し願望があるらしく、今の環境に飽きてることが見受けられる」
「……そんなことまでわかるのか? 正直言って割と引くんだが」
「そういうなよ。ま、不倫調査ってやつ。普段の素行なんかを調べてれば、自然とボロが出てくるもんだし。当たればラッキー、外れたら残念。それに、核心的な調査なんかは勝手にやってくれるみたいだし、俺らはそのきっかけを探すだけでいいのさ」
そう言い終わると、鈴島は後は頑張れと言って、アーケード街の群衆の中へと消えてゆく。
「……そんなもんかね」
(まあ……密告っていうぐらいだしな。そんなもんか)
簡単に結論付け彼も立ち上がり、折り畳み傘を取り出して、ふと辺りを見回した。
(しかし、まあ。そう思って探すとなると――――この街も、少し恐ろしいもんだな。……ここにいる全員が、怪しく見えてくる)
疑心暗鬼。正にその言葉の通り、彼は少し、恐怖していた。
果たして、本当に鬼がいるのかと。果たして、鬼は一体誰なのかと。
(ともすれば、俺自身が鬼だった、なんてな)
冗談にもならない話だ。
彼はそう呟き、アーケード街の雑踏に混ざり、その場を後にした。
オープニング:雨後の少女、与する偽善者。
いつも通りの朝。しかし、先日よりも晴れており、雲の姿はほとんどない。
そんな、昼には炎天下になりそうな早朝。普段は使わない、祖父が持っていたハンチング帽とだて眼鏡を付け、白シャツと茶色のチノパンを着衣し、少し傷んだ革のバッグに一眼レフとフィーチャーフォン、支給されたばかりのお小遣いを押し込んだお古の長財布。
どれもこれも、地味で古臭そうなもので、彼もそれはわかっていたが。
(むしろ、こんな格好が望ましいのかもな。探偵みたいな感じで、相手に意識されたらダメなんだろうし)
資料に載っていた、不審人物の監視、及び当該人物の写真の提供が主な業務内容であるという旨。それはつまり、簡単な探偵業務のようなものであると、彼は推察していた。
(ただ、お母さんとか姉さんにはばれないようにしないとな)
そう、自らに確認をさせるように呟く。
それもそのはずで、彼自身嫌気がさすほどに理解していることだ。
「……普通、息子とか弟が街に行くってだけで金をだすものかね」
財布に入った、二枚の一万円札。それを取り出し、見ながら、彼は何を思ったかスマホを取り出して画面を確認し……一万円札を破り、ゴミ箱へと捨てる。
(正直、返せば済む話なんだが、せっかくだしな)
そうして、彼はごみ箱に捨てられた紙屑に目を向けることも無く、部屋を後にした。
違法性の意識、及びその重要度の大小に関わらず、この通報は実行される。酷いものだ。誰もが、意識しなければ守れないような法律を、誰かが守り切れなかった瞬間を捉え、言いふらし、そしてそれで金を得るというのだから。
(しかし、まあ。ああいうのは、やっぱりな)
それでも、丁度良い機会ではあったのかもしれない。自らの踏ん切りをつけるためにも、必要だったのだろう。
郊外、住宅地からも市街地からも離れた公園の一角、古く傷んだベンチに座っていた中学生位の――右目に眼帯を当て、左眼も大きく腫らし、スカーフの中の首に、大きな痣を隠した――女子に、先ほどコンビニエンスストアで購入した清涼飲料水を片手に持って、彼は快活に話しかける。
「やあ、この前はどうも。調子は大丈夫?」
「あ……はい、先日はありがとうございました、フルダさん」
彼とは相対的に、やや落ち着かないような様子で、手渡されたソーダをバッグの傍に置く。
しかし、先程の様子とは裏腹に、彼は一瞬、後ろめたそうな表情を浮かべた。
(嘘は言ってないしな。うん、旧姓だし。嘘は言ってない)
「でも、どうして会おうなんて。連絡先も教えてなかったと思いますが……」
「それは当然……いや、当然というべきではないか。少し、気になることがあって、ね」
彼はそう言って、新機種らしきスマートフォンを取り出す。
――――先日、夜遅くの話だ。
いじめの現場等ではない。余りに異質な光景だった。一方的な暴力と理不尽だったというのが、彼の率直な感想だった。こんな、一見平和そうな町。世界有数の治安を誇る日本という国の中でも、こんなにも凄惨な光景が存在しうるのかとすら思った。
彼はとっさにその現場を写真に収め、その時のフラッシュに気付いた集団から逃走し、何とか撒いたうえで、現場からやや離れた場所にいた彼女――その時教えてもらったのだが、山園優子というらしい――を保護し、警察署に送り届けたのだ。
そんな光景を見たうえで、心配でないわけがない。というのが本音であった。しかし、彼女としてはそう言ったことには、あまり触れられたくないのではないかと思い、彼は当然という言葉を使うことを避けたのだ。
「勿論、答えたくなければ答えなくていい。というより、人に向かって口に出すと辛いだろうし、このスマートフォンに録音しながら、メモ帳にでも、何があったのかを伝えてほしい。……まあ、警察にも話したんだろうけどね。心配だったから」
そう言って、彼は電源を付けたばかりのスマートフォンを彼女に手渡そうとした。
しかし、彼女はそれを受け取ろうとせず、ぼそぼそと、何かを伝えようとするばかりだった。
「……ねえ、大丈夫?」
普段、彼があまりしないような調子で、彼女を気遣おうと、そっと肩に手を置こうとする。途端、彼女は静電気が走ったかのようにびくりとし、そのまま逃げるように走り去ってしまった。
残された彼は、怖がらせてしまったと感じながらも、思考を巡らせていた。
(まあ、おかげで彼女がバッグを置いたままだから、調べ物もできるんだが)
そんなことを考えながらも、目的のものを彼女のバッグから探し出す。
そうして薄いピンク色のバッグの中から、藍色のカバーを取り付けたやや古めのスマートフォンを、彼は無造作に取り出し、電源を付けた。
(パスワードは、無し。SNSの通知多数、と)
必要な情報を端末から拾い出し、時折画面を撮影しながら、フィーチャーフォンにメモをする。メモが終わると同時に通知を選択し、SNSを起動し、メッセージを黙読する。
そこには、正体不明の怨嗟と、軽々しい殺意が込められた文面が表示されていた。
(金銭目的の恐喝、援助交際の強要、犯罪行為の示唆も有り。いじめの証拠としては十分過ぎるほどだな、あとは正体をつかめれば万々歳か。大体十数万くらいの価値にはなるが……ここらへんが時間としては限界か。そろそろ戻ってくるだろう。俺は俺で調べなならんしな)
バッグとスマートフォンを元あったように戻し、何かが書かれたメモと、複数の資料が同梱された紙袋を置いてベンチから離れ、公園を出る。
そして彼は、冷めた目で、急ぎ歩き始めた。
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