第4話 密やかに動いていたもの


「つ、疲れた……」

「待ってください、柾さん。それ、俺か柊さんの台詞ですよね?」


 テーブルに突っ伏し疲労困憊している柾に、和泉は冷静に突っ込みを入れた。

 それもそのはず。荷物を出して整理する作業は和泉と柊が行っており、柾がやった事といえば、本来であれば疲れることはまずないと言っていいレベルの物だった。


「いやー、『段ボール解体』って意外と疲れるね!」

「邪魔だから出てろっつーのに、なんで意地張ってんだよ。引きこもりが」

「『ポジティブ系軽度引きこもり』だよ」


 柾はひたすら、中身のなくなった段ボールの底を開いては畳んでいくという作業しかしていない。しかも、それも後半は和泉や柊も手伝っている。

 柊の発言に補足する柾だが、結局のところ「引きこもり」には違いない。ただ、彼には彼なりの拘りがあるようだ。


「新しいジャンル作ってんじゃねーよ。引きこもり」

「『ポジティブ軽度引きこもり』のほうが言いやすいかな?」

「言いやすいの問題じゃねーんだよ」

「いたっ」


 柊の平手が小気味良い音を立てて柾の後頭部を襲い、柾は頭を抱えてうずくまった。

 「系」と「軽」を重ねて略しているが、正直、どちらでもいい。

 一方、柊はスマホで時間を確認すると、「今日はこれくらいでいいか」と大方片づいている部屋を見渡した。

 まだチェストや棚に入っていない物はあるものの、日常生活を過ごす分には問題ない。物を入れていた段ボールは畳んで玄関の横に置いているため、またゴミ集荷の日に持っていけばいいだけだ。


「じゃ、ちょうどメシの時間だし、共有ルーム行くか」

「あ。俺、何も買ってないですけど……」

「ああ、大丈夫。今日に関しては心配しないでいいよ」


 さすがはキッチンが共有ルームにあるだけはある。

 今日は甘えさせてもらおう、と和泉は柊と柾と共に部屋を出た。鍵はしっかり閉めておいて。

 途中、端にある談話室も見せてもらった。中は和泉の部屋の半分ほどの広さで、テーブルが三つと壁際に自動販売機が二台並び、奥には小さなコンロとシンクがある。確かに、下まで行くのが面倒なときはここで済ますこともできそうだ。

 一階に着き、共有ルームの扉を開ける前に柊が足を止めた。


「どうかしたんですか?」

「……あー、あれだ。扉開ける練習」

「俺、高校生なんですけど?」


 振り返った柊に首を傾げれば、彼は視線をさ迷わせたあと、ばつが悪そうに右手を首の後ろに当てながら言った。

 まさか、この年齢になって扉を開ける練習などをさせられるとは思わず、逆に開けるのが怖くなる。

 すると、後ろにいた柾が柊の前に出て扉に手をかけた。


「お腹空いたー」

「あ、バカ!」


 なぜ、柊が止めようとしたのか、その理由は扉が開けられた直後に響いた音が示していた。

 最初の一発を皮切りに二発、三発と続いた乾いた破裂音。そして、飛び出してきた細長い色紙テープと色とりどりの紙吹雪。


「うわぁっ!?」

「「「カスミ荘へようこそー!」」」

「「…………」」


 音に驚いて悲鳴を上げた柾、そして、破裂音の正体……クラッカーを持って声を揃えた花菜と小鳥遊双子。柊は顔を片手で覆い、和泉は何が起こったか分からずに困惑を隠せない。

 すると、花菜と小鳥遊双子と同じくクラッカーを鳴らした一人である光輝が、「あれ?」と声を上げた。


「なんで柾さん?」

「ううっ。酷いよー」

「酷いのはどっちよー! もう! せっかくの歓迎会のスタートが台無し!」


 悲痛な声で非難する柾だが、花菜達からすれば計画を壊されてしまったのだ。

 怒る花菜を「まあまあ、落ちついて」と光輝が宥めつつ、彼は戸惑う和泉を見て困ったような笑みを浮かべた。


「ごめんね? 柊さんから奈尾君の入居の話を聞いて、柾さんが『皆で歓迎会をしよう』って計画を立てとったんよ」

「そうだったんですね。すみません、わざわざ用意していただいて……」


 初対面の相手に初日から歓迎会というのも早々ないだろう。それだけ、ここの住人が早く親しめるようにと気を遣ってくれたのだ。嫌な気はしない。

 入居の話を住人に出してくれたらしい柊は、「この馬鹿。自分で言い出したくせに自分で無駄にしてどうすんだ」と柾の後頭部を平手で殴っていた。

 すると、このままでは進まない、と春馬が話を切るように声を上げる。


「ねーねー。早く中入って入って! 始まりはグダグダになっちゃったけど、こうなったらもうこのまま始めちゃおう!」

「そうそう。やっちゃったならどうしようもないし」

「うんうん。そうだよね。春馬君も春斗君も良いこと言うね」

「「柾さんは反省ね」」

「…………」


 双子の声の揃った叱りに、柾は両肩を落として分かりやすく落ち込んだ。

 過ぎたことを気にしないで、というのはあくまでも柾以外への言葉であり、当事者には反省してもらいたい。

 和泉は後ろに回り込んだ春斗に背を押され、春馬に左手を引かれて共有ルームへと足を踏み入れる。

 昼間はモダンな空間だったそこが、今はテーブルに多くの料理が並んでいる。カウンターキッチンの上には「カスミ荘へようこそ!」と書かれた画用紙が貼られており、いかにもこれからパーティが開かれるという空間になっていた。


「う、わぁ……!」

「あと、あの二人の紹介ね。ちーちゃんとは会ったみたいだから省略で!」

「…………」

(視線逸らされた!)


 春馬とは反対側に立った花菜が部屋の奥にいた三人を視線で示す。

 入口から離れた方のテーブルに着いていたのは、眼鏡を掛けた三十前後の短髪の男性と、春馬達と同年くらいの青年だ。また、同じテーブルの入口から一番遠い席には昼に会った千鶴がいたが、彼女は和泉と視線が合うと慌てて視線を逸らした。

 地味に傷つきながらも、和泉は花菜と春馬と共にまだ会っていなかった二人のもとに歩み寄る。


「眼鏡が最年長、二十九歳の『ゆいちゃん』、もう一人が双子と同じ大学に通う『彼方』!」

「ざっくりきましたね」


 昼間はあんなにも語っていたというのに、突然の省略での紹介に驚きを通り越して感心してしまう。

 すると、黒いフレームの眼鏡の男性は溜め息を吐いた後、席を立ってから自身の口で名乗った。


「俺は二〇一の由井智佳よしいともよし。隣の部屋だし、何かあったら気兼ねなく相談に来るといい」

「はい。よろしくお願いします、由井さ……ん? 『ゆいちゃん』っていうのは……?」

「苗字が『ゆい』とも読めるから。そっちのほうが可愛いかなって」

「……ああ、なるほど」


 花菜の上げた言葉が名前に一つも入っていないため、一体、どこにあだ名の由来があるのかと気になった。

 空中に字を書いて見せた花菜の指を追い、漢字が分かったところでようやく理解できた。

 そして、もう一人の青年に向き直る。前髪が顎のラインよりも下まで伸ばされており、それに対して後ろは短めと、やや特徴的な髪型だ。

 じ、と和泉をイスに座ったまま見上げてくる彼に、和泉はやや気後れしてしまう。紫の瞳は感情に乏しく、何を考えているのかを読ませない。

 和泉の戸惑いを感じ取ったのは、彼と同じ大学だと言う春馬だ。


「ああ、ごめんね? こいつ、『望月彼方もちづきかなた』って言ってさ、性格が独特なんだ。感情はちょっと読みにくいけど、話してみると意外と面白いよ」

「紫の目はカラコンね。俺達のは地だけど」

「そ、そうなんですか?」

「…………」


 春馬や春斗の言葉に偽りはないだろうが、なんとなく本人に確認してしまった。

 すると、彼方はしばし考えたあと、ゆっくりと口を開いた。


「僕は普通にしてるんだけど」

(おお、喋った)

「なんで驚いた顔をしているんだ?」

「あ、すみません。つい……」


 てっきり、あまり喋らない人なのかと思ったが、話すときは普通に話すようだ。

 きょとんとする彼方は同性の自分から見ても綺麗だと思う顔立ちをしており、和泉は「ここの顔面偏差値高すぎ……」と心が挫けそうになった。もちろん、口には出さなかったが。

 そこで、智佳はあることを思い出して小さく手を挙げた。


「そうだ。奈尾は、犬は大丈夫か?」

「犬、ですか? はい。大丈夫です」

「ならいい。実はうちに犬がいるんだ。今は部屋だけど、もし苦手ならまずいなと思ってな」

「へぇー。何犬なんですか?」


 ここのアパートはペット禁止ではない。一言相談する必要はあるが、ペットして犬や猫はよくある話だ。

 和泉は今までペットというものを飼ったことがないため、智佳のペットには興味がある。

 純粋な疑問だったが、飼い主であるはずの智佳は何故か回答に詰まった。


「種類か……。そうだな。見た目は日本犬に近いな」

「見た目は?」

「雑種みたいなものだ。大きさは柴犬より少し大きいくらいだが、基本的には大人しいし人懐っこいから、犬が苦手でないならすぐに慣れると思う」


 犬を始め、動物は嫌いではない。むしろ好きなほうだ。

 触れ合えることに密かな楽しみを抱いていると、花菜が和泉の肩を軽く叩いた。


「一応、仕事で集まれなかった人を除いたら、これで全員だよ。名前とかはゆっくり覚えていけばいいからね?」

「はい。ありがとうございます」


 最初の内は間違えることもあるかもしれないが、毎日のように顔を合わせていれば自然と覚えるだろう。

 花菜は和泉の背を押して入口に近い方のテーブルの真ん中に座らせると、自身も右隣に座った。隣のテーブルに背を向ける形ではあるが、空席もあるので食べているうちに各々が好きに移動するだろう。


「じゃ、紹介も済んだことだし、食べよう! 腕によりをかけて作っ……てくれたご飯だよ!」

(あ、三嶋さんじゃないんだ)

「和泉君はお茶で大丈夫? ジュースもあるよ」

「あ、お茶でお願いします」


 腕によりをかけて作った、と言いかけた花菜は寸でのところで言葉を止めて言い換える。わざわざ言い換えなくてもいいだろうが、そこは彼女の性格が許さなかったのだ。

 柾がお茶の入ったペットボトルを持って来てくれたため、そのままコップに入れてもらう。他の人達も飲み物を入れると、進行役を買って出ているのか、それとも性格からか花菜が立ち上がって乾杯の音頭を取った。


「えー、それでは。和泉君の入居を祝して……祝して? まぁ、いいや。よろしくねってことで、かんぱーい!」


 やや締まりは悪かったものの、花菜の一言で乾杯が済み、それぞれが料理に手をつけ始める。部屋に置かれていたオーディオで光輝が音楽を流してくれたこともあり、共有ルーム内が一層賑やかになった。

 そんな中、和泉の向かいに料理を乗せた皿を持ってきて座った春馬がある質問をした。


「ねぇねぇ。実のところ、和泉君はなんで海外行かなかったの?」

「それ、さっきも聞いてなかったか?」

「いーじゃん! 本当の理由気になるんだし!」


 春馬の向かって右隣……花菜の正面に当たる席に座っていた柊は、またもや繰り返される質問にややうんざりした顔をした。

 ただ、春馬の質問については他の住人も気になっていたところだ。

 聞かれることはあるだろうと予想していた和泉は、苦笑を浮かべつつ理由を話すことにした。


「英語がちょっと苦手っていうのもありますけど、高校二年に上がる直前だったし、向こうの学校って九月スタートなので間が開くのもな……って」

「まぁ、九月までに英語修得しないといけないよね」


 柊の右隣にいた柾は、柊の皿から唐揚げを取りながら、日本と海外でのスケジュールの違いを思い浮かべる。

 唐揚げを取られたことに気づいた柊は、しばし彼を真顔で見た後、柾の後頭部を平手で叩いた。

 日常茶飯事の光景は軽く流して、花菜はポテトサラダを取り分けながらさらりと言う。


「まぁ、日本人学校っていう選択肢もあるけどね」

「「なるほど、それがあった」」

「(さすがは双子……)あ。ありがとうございます」


 声の揃った春馬達に内心で感動しつつ、花菜が取ってくれたサラダを受け取る。

 花菜の言う「日本人学校」は海外にある日本の学校のことだ。授業に英語は必須だが、日本語で行われる科目もある。また、卒業後は日本の大学に進学することも可能だ。当然ながら学校の数は限られているが、父親の転勤先は偶然にもそういった学校は通学圏内にあった。

 海外に行かなかったことを責められているわけではないが、果たしてどう言ったらいいものか、と和泉は言葉を探す。

 すると、春馬の左隣にいた春斗はにっこりと笑みを浮かべて和泉を見た。


「でも」

「あと『何か』あるよねー?」

「えっ。なんで知ってるんですか?」

「「はい、墓穴ー」」

「あっ」


 鎌をかけられたと気づくも後の祭りだ。

 だが、次に続けられた双子の口振りからするに、二人は真実を既に知っていてもおかしくはなかった。


「そんな隠すことでもないじゃん」

「そうそう。誰だって苦手な物の一つや二つ、三つ四つ五つ……」

「増えすぎ増えすぎ」


 どんどん数の増える双子の兄を春馬が制する。

 一体、春斗の苦手なものはいくつあるのかと問いたくなったが、和泉にはそれよりも気になることがある。


「お二人とも、どこで聞いたんですか?」

「『風の噂』だよ」


 本当の理由を和泉はまだ誰にも話していない。知っているのは両親くらいだ。

 どこからともなく聞いた、となると、知っていそうな人物は一人しか思い浮かばない。

 入居に際して両親と話をしたという、カスミ荘の大家しか。


「柾さん……」

「僕は言ってないよ!? 飛行機嫌いで死にそうになるから行かないなんて!」

「今言ったな」

「あっ」


 柾は慌てて否定するも最後の一言は余計だった。

 冷静な柊の突っ込みで気づくも時既に遅し。口から出た言葉は戻せない。

 隣で聞いていた花菜はきょとんとしながら和泉へと視線を向けた。


「飛行機、駄目なの?」

「……そうです。俺、飛行機嫌いなんですよ。というか、人工物で高い所にいるのが」


 いつから駄目だったのか詳しい時期や切っ掛けなどは覚えていないが、物心つく前からだったのは間違いない。

 両親は、子供なら喜びそうな飛行機を全力で嫌がる息子を珍しがっていたものだ。

 当時を思い返しつつ、和泉は怖いと思う点を語る。


「だって、飛行機とか鉄の塊ですよ? ロープウェイだってワイヤーで吊されてるし、タワー系だって人の手で作られてますからね? ボルト緩んでたり、錆びて折れたりしたらって思うと怖くて駄目です」

「じゃあ、今まで飛行機乗ったことは?」


 高校一年までであれば、今まで乗る切っ掛けの出来事はありそうだ。主に修学旅行などで。

 その時はどうしたのだろうかという純粋な疑問だったが、春馬の問いに和泉は苦虫を噛み潰したような顔で答えた。


「中学の修学旅行で乗りました」

「大丈夫だったの?」

「気絶してました」

「あ、これは本気で駄目なやつだな」


 花菜にあっさりと返せば、柊も確信した。

 いくら苦手でも気絶するほどのことには早々ならないだろう。

 春馬は所謂『高所恐怖症』であろう和泉の部屋の高さを思い出しながら言った。


「二階だけど大丈夫?」

「大丈夫です。二階なら、崩れたり落ちたりしても死ぬ確率は……ゼロじゃないですけど、低いと思うので」

「待って。ここ崩れる前提なの?」


 思わず口を挟んでしまったのは大家である柾だ。

 築年数はまだ二桁にいっていないため、余程のことがない限りは崩れることもない。

 ただ、和泉は特に考えずに発言しただけで他意はなかった。


「た、例えばの話ですよ!」

「まぁ、余程のことが起これば崩れるだろうけどさ……」

「アパート崩す余程のことが起こるって想定はできるんですか?」


 建物が崩れることとなると大災害か。もしくは、火災などもあり得る。

 しかし、柾から出たのはまったくの別のことだった。


「例えば、風の悪戯で壁に大きな傷ができたりとか」

「うん?」

「「…………」」


 随分と具体的な内容だ。

 柾ののんびりとした……けれど、やや棘を含む言葉に、何故か春斗と春馬が視線を逸らせる。

 何があったのかと聞こうとするも、柾が言葉を続けたことによって遮られた。


「例えば、誰かさんが凍らせたりとか」

「凍らせたりって、いや、無理でしょう」

「いやー? 意外とそうでもないよ。ほら、後ろに迫った人とかなら」

「後ろに……うわっ!?」


 柾が和泉の後ろを示し、和泉もそれに倣って振り返る。

 だが、視界は何か柔らかい物に覆われて真っ暗になった。かと思いきや、すぐにそれは和泉からやや離れ、代わりに、前から肩に腕を回したまま至近距離で和泉の顔を覗き込んでくるほのかの姿が入った。


「なっ、えっ、ちょっ! ち、近いです!」

「純情だねー。慌てすぎだよ」

「テメェは喜んで抱きつき返しそ――」

「もちろん! ウェルカム!」

「被せ気味に即答すんな!」


 ほのかに抱きしめられ、その胸に顔を押しつけられていたと気づいた途端、赤面して慌てる和泉を春馬が冷やかす。

 柊は既に見慣れた光景のため動じてはいなかったが、両腕を広げてみせた春馬はやや強めに叩いてやった。

 一方、ほのかは和泉の両頬を包むように手を添えてうっとりしていた。紅潮した頬とやや眠そうな目は、明らかにある程度の飲酒をしていると分かる。


「和泉ちゃん、見た目は普通だけど、磨いたらぐっと変わりそう……」

「え、えっと……」

「このまま老いさせるのも勿体ないし、

「…………は?」


 にっこりと綺麗に微笑んだほのかに見惚れかけ、すぐに思い止まる。


 ――今、この人は何と言った?


 突然、周囲の温度がぐっと低くなった。

 後ろで何かが倒れる大きな音がした。

 隣のテーブルから「ストップ! 待て!」という智佳の声が上がる。


「じっとしててね? じゃないと苦しいから」

「う……うわぁぁぁぁ!?」


 ほのかの手が頬に触れる。

 まるで氷を押し付けられたような冷たい感触に、思わず身震いをしてしまった。視界の隅には冷気がちらつく。

 薄い氷の割れる音がした直後、和泉の意識はぷつりと途絶えた。

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