第3話 恐怖心

「ハア、ハア」

自宅を飛び出して、1時間が経ち、すっかり夕暮れ時。

家へ帰宅する為だろうか、急に人が多くなってきた。

だが、この当たり前の日常に俺は委縮し、心臓の鼓動が狂うほど速くなっていた。

「の、喉が渇いた」

歩いてから、いくつもの自動販売機を通ってきて、魅力的な飲み物にゴクリと唾を飲み込むが、あいにくズボンのポケットには、2つ折りにした1万円札が3枚のみ

入れるが、間髪入れずに自動販売機から無情にも出てきてしまう

「まいった」

今の状態では、最善の策と言うとコンビニエンスストアに入店し、飲み物を買う事だろう。

しかし、行けないのだ、ダメなのだ、無理なのだ。

まず、コンビニに入ると人がいて、人がいる1つの箱に閉じ込められるそんな感覚に陥る。

逃げられない、逃げたい、逃げたくても買うまでの時間が永遠のように感じられる。

そのような感覚だ。

それがとんでもない苦痛、拷問なのだ。

だから入れない、現に外と言う箱でない空間でも、手汗が出て、背中から汗が吹き出し、心臓の鼓動の制御が効かない。

「あ~」

頭もクラクラして顔もいつもの状態が保てない

歩く道と言う道が人混みとかしてきた

「・・・・・・」

やばい、全身の震えが止まらない

「ッッッッ」

止まれ、止まれ、止まれ、言葉にならない声で、制御を一生懸命しようとする

明らかに一人だけ違和感のある俺を行きかう人間が観察してくる。

「見るな、俺を見ないでくれ、ほっといてくれ」

言葉にだそうとするが、おそらく出ていないだろう

息をはく音だけで、周囲に伝えようとする

緊張と恐怖でもう体の限界が近づいてくる

視界がもろうとしてきた。


こんなんだから引きこもってたんだ。

外に出て、人とすれ違うと、自分の感覚が制御できないんだから。

「もうだめだ」

そういって俺は意識を失った……


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