第7話「銀河鉄道への夜」

とうとう、全ての『ページ』が揃い、彼は思い出した。

この『銀河鉄道』の非道なる原動力、燃料となるべきものを。

それは、『運命の書』のページ。俗に思い出というものだった。

それでも青年に恐怖はない。スピカを星空に返す。それが、彼の願いだから。

彼は燃料となる『運命の書』の一枚目を炎にくべた。

汽車はそれだけで、まるで生き返ったかのように動き出した。

しゅーっと煙を吐き出し、車輪を動かす力を貯め始める。

車掌のように彼はスピカに切符を渡した。

「これが夜空の階段への片道切符だよ」

そう言って、笑った。

スピカはその切符を受け取って言った。

「なんで!?私なんかお空にいても邪魔なだけよ!あなただけなの!私を必要としてくれたのは!私、あなたとずっと一緒に居たかった」

掴みかからんばかりの勢いだった。けれど、彼女の手は渡された手書きの切符がグシャりと握られたままだった。そして、大きな瞳から涙を沢山こぼしながら、列車に乗り込んでいった。

『運命の書』を『思い出』を燃料にくべてしまった彼は・・・、いつまで、意識を保っていられるのだろうか。いつまで、彼は彼女の記憶を持ったままでいられるのだろうか?

僕たちはただ、二人が夜空へと旅立つのを見送るだけだった。

『銀河鉄道』はわずかに光りながらレールのない夜空を駆け上っていく。

その行先は『夜空の階段』なのだろう。



僕たちは再び訪れたこの『想区』で不思議な噂を聞いた。

なんでも、『銀河鉄道』という不思議な列車が落っこちた星や亡くなった人を運んでいるという噂だった。

再び訪れた時の話はまた今度にしよう。

どうも、僕達はこの『想区』とは縁があるみたいだから。

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グリムノーツ「銀河鉄道への夜」 やなちゃん@がんばるんば! @nyankonosirusi

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