Lv5「不死王と、児童販売機」

学校は今日も、休校中。

キーニャンは、暇を持て余したワルキュラのために、街中を案内する事になった。

そんな最中――事件が起こる。


「この国には……自動販売機はないのだろうか?キーニャン」


「じ、児童販売機!?

な、なんですか、それは……?」


キーニャンの脳裏には、若い子供達を売っている、退廃的な機械が思い浮かんだ。

児童販売機、名称からして悪徳の塊に違いなかった。

やはり、目の前にいるワルキュラは、化物なのだ。

人間とは違う、血も涙もない怪物だと、キーニャンは再認識せざる負えない。


「……キーニャンは、自動販売機を知らないのか?」


「そ、そんな猟奇的な道具は、この国にはないと思います!」


「ふむ、自動販売機が猟奇的……?

斬新な視点だな、意味がわからん」


「も、もっふぅ……!」


「一応、説明しておくが、自動販売機はな……色んな物を売っている素晴らしい機械なのだ。

24時間営業で、夜に働く労働者の強い味方だ」


(も、もっふぅ?!色んな者を売っている!?

もうやだー!この骸骨怖いー!

ワルキュラ様に、小さい娘を陵辱する趣味があるって本当だったんだ!

きっと、今までたくさんの少女が犠牲になったに違いない!?

逃げたいー!でも、逃げたら国から制裁されるー!どうしようー!)


やはり、超猟奇的で、犯罪チックな機械なのだとキーニャンは確信する。

話が通じるように見えても、悪の帝王は、悪党に過ぎないと。

子供を道具だとしか思っていないとか……血も涙もない骸骨に過ぎない。


「寂しいな……俺は散歩しながら、自動販売機の数を、数えるのが趣味なのだが……」


児童販売機を欲しがるワルキュラ。

そんな姿を見るだけで、キーニャンの狐耳は下に垂れて元気を失う。

尻尾の毛並みも逆立って、美容に悪かった。

もう、恐怖で心臓が爆発するほどに脈動しながら、ツッコミを入れざる負えない。


「ワ、ワルキュラ様!

都市中に、児童販売機が設置されているんですか!?」


「うむ、大都会なら、100m歩けば……自動販売機を30台ほど見かけるな。


「も、もっふぅ……そんなに児童販売機があるなんて……そ、想像できません、ワルキュラ様」


「便利だから、一度利用すれば病みつきになるぞ?

最近では、購入する度にルーレットが動いて、当たりが出ると、無料で、もう一つ商品を貰えるそうだ」


(ダメだ、この骸骨っ……!

早めに誰かが倒さないと、世界が崩壊するっ……!

児童販売機とか怖いっ……!助けてっ……!白馬の王子様っ……!)





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ワルキュラ「自動販売機巡りは楽しいな。

売っている商品を見るだけで、満足できるぞ」



皇后「あっちに、美味しい線香売ってますよ!

あっちに行きましょう!ワルキュラ様!」


ワルキュラ「うむ」


皇后(あ、危なかった……!

あともう少しで、雑誌を売っている自販機エリアに突入するところだった……!)」


ワルキュラ(本を売っている自販機がない……やはり我が国の読書文化は遅れているな……)

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