須藤陸は大学へ進学し、念願だったダンス部への入部を果たした。が、素人の彼は体験入部の時点からできないことばかりで……しかし、彼の胸に燃え立つ情熱は弱まることがなかった。そして同じアニメ好きな女子と出会い、ブレイクダンスと出会い、師となるダンサーと出会い、ただの素人から本物のB-BOYへと成長していく。
ダンスというジャンルは知らない人にとって謎すぎる代物。でもこの物語には丹念な解説が置かれているのです。それも地の文章と台詞を併用してのくどさを感じさせない描写になっていて、著者さんの心尽くしが感じられるのが実によろしい!
だからこそダンス素人の陸くんが一歩ずつ成長していく過程が際立っているわけですが、心情描写がまた丹念なのですよ。とまどったり気後れするばかりな陸くんの弱い心が、本当に強くなりたいと転じる瞬間のカタルシス、本当にもうたまりません。
ストリートダンスがお好きな方へはもちろん、まだ知らない方へも強くおすすめしたい一作です。
(「ダンス! ダンス! ダンス!」4選/文=高橋 剛)
ダンスがこんなに熱くハードなバトルになるだなんて、この物語を読むまで想像もできませんでした。
「熱血スポ根もの」はもはや時代遅れだという感覚でしたが、この物語はまさに「熱血スポ根もの」!
ただし、最高にクールで面白いのです。
運動そのものに縁のなかったようなリクが、ある人物、あるイベントがきっかけでブレイクダンスを始めるのですが、良き仲間、良き先輩、良きライバルを得てめきめき力をつけていく。
けれどもそれは彼の才能で簡単に得た力などではなく、不器用に、ストイックに、熱い思いを胸に秘めつつ努力を重ねた結晶なのです。
ね?まさにスポ根でしょう!
彼らはスタートを切ったばかり。これから頂点をめざしてますます一直線に頑張るのでしょう。
今後の彼らの成長にも目が離せません!
ブレイクダンス、もしくはダンス、そういうものに全く縁がなくともしっかり楽しめます。この作品には物語で重要な、主人公の努力と成長があり、仲間との出会いと友情があり、師匠とのきずながあります、さらに仲間とのバトルがあり、努力が報われる熱い展開があります。
マイナースポーツを扱った題材だからといって、手に取らないのはもったいない。そのあたりを声を大にしていいたいです。読者に知識がなくとも、主人公も最初は素人です。彼と一緒にブレイクダンスに触れ、ダンスを学んでいけばいいのです。
文章のうまさはもちろん、くっきりとした輪郭のキャラクター、スピーディーな展開、胸を熱くする伏線など、物語の魅力がたっぷり。
ぜひ読んでみてください!