第6話ビーストハンター 第1話 「狩猟免許と言う名の殺人許可証」 (5)

「あぁ…俺だ。吉野」ツクモは立体映像に呼び掛けた。

「ご苦労様です。夜行さん…で、ビーストの身柄は確保できましたか?」吉野刑事はそう言った。

「スマン。吉野…後一歩の所でレベルスリーに移行したもんで、うちの若いもんが始末しちまった」

「そうですか~」吉野は少しがっかりした表情をした。

「本当にスマン…せっかくお前さんに情報をもらいながらザマ~ない」

「気にすることはないですよ…夜行さんでだめなら、誰がやってもだめだったでしょうから」

「何とかお前の顔を立ててやろうと思ったんだがなぁ…けど、最近は公安局の方針が変ったのか?」

「そうですね~…以前は社会のクズは殺せ!殺せ!の一点張りだったんですが、最近は身柄確保の命令が多いです」

「公安局も気まぐれなもんだな…お前さんも宮仕えで苦労が多かろう。身を引いた俺が言えた義理じゃないがな」

「まぁ、イェーガーの監督だけじゃぁなくて、偉いさんのお守りも仕事の内ですからね~」

「大変だよなぁ、いま時の刑事は…ところで奥さんと子供は変わらず元気か?」

「えぇ、チビはあれから随分大きくなりましたよ。女房のヤツがすっかり手を焼いてます」

「そうか~…そりゃよかった」

「一度家に遊びに来ませんか?久し振りに差し向かいで一杯どうです」

「う~ん…お前さんの奥さんや子供の顔を見るとな~」

「気持ちは分かりますよ。7年前の事件を思い出すんでしょ…でもねぇ、もうそろそろ気持ちを切り替えて」

「ありがとう。吉野…でも俺にゃぁ、昨日の事のように思えてな~」

「無理は言いませんよ。気が向いた時にでも寄ってもらったらいいです」

「あぁ、そうさせてもらうわ…で、後始末の件だがな」

「ご心配なく…検死官の手配と死体処分はこっちでやっときますから…あ、それから報告書はゆっくりでいいですよ」

「スマン…世話を掛けるが頼むわ」

 ツクモは吉野刑事に現場の住所を知らせてサテラフォンのスイッチを切った。

 仕事とは言え、いつもビーストを始末した後はイヤな気分になる。

 なぜ、こんなに虚しい気持ちになるんだろう…ツクモは恨めしそうに雨が落ちて来る空を見上げた


 ほどなくやって来た検死官と現場検証を済ませた音羽警備のイェーガーたちは、ビークルに乗り込んだ。

 一見、四輪駆動のサファリ車のようにも見えるビークルは、実はイェーガーたちの戦闘用装甲車だった。

 車体は強度の防弾仕様になっていて、天井には放水銃やマシンガンを据えつけられる銃座を備えている。

 前のバンパーには、テロリストや犯罪組織が築いたバリケードを突破するチェーンソーまで装備されていた。

 車内はかなり広く、ジャルクのケージや武器・弾薬を積み込むスペースもあり、8~10分の座席があった。

 なぜ、民間警備会社がこれほどの重装備をするようになったかは、時代を少しさかのぼって説明しなければならない。


~続く~

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