「銀河鉄道への夜」

やなちゃん@がんばるんば!

「銀河鉄道への夜」

あるところに、きらきらと輝く綺麗なお星様がいました。

お星様はきらきらと輝いて、夜道を明るく照らしていました。

ところが、お星様は不注意で夜空の階段をふみはずしたのです。

お星様は真っ逆さまに地上に落ちてしまいました。

夜空へ戻るすべはありません。

夜空に帰りたくて、帰りたくて、お星様はわんわん泣きました。

けれど、遠くに輝く仲間の星たちには、その声は届きません。

そんなお星様に声をかける青年がいました。

「どうして、そんなに泣いているんだい?」

お星様は答えました。

「夜空に帰れないの。仲間たちのところへ帰れないの」

それを聞いた青年はお星様がとてもかわいそうになって、言いました。

「それじゃあ、僕が君を仲間のところへ帰してあげるよ」

こうして、お星様を夜空へかえすために青年は大きな夜空を走る列車を作る事にしました。

けれど、その道は困難を極めました。

なにせ、夜空の星さえ届くような場所へと、走る列車など聞いたことも見たこともありませんでしたから、青年はやがて街の人たちに笑われるようになってしまいました。

けれど、青年は諦めず、根気よく、夜空を走る列車を作りました。

それでも、列車は夜空を走りませんでした。

諦めかけた青年でしたが、お星様の泣き顔をみて、再度挑戦しました。

青年は何度も何度も、それはそれは数知れない失敗の末にやっと、夜空を走る列車を完成させました。

お星様は青年に聞きました。

「どうして、わたしの為にそんなにがんばってくれたの?」

青年は照れくさそうに言いました。

「だって、君が夜空で輝いてくれるなら、夜道でも安心して皆が帰れるからだよ」

本当は青年はずっと一緒にいたお星様を好きになっていましたが、お星様が心配にならないように、そう言いました。

「さあ、乗って!君の夜空の場所まで送り届けよう」

これが、お星様との最後になることを知りながら、心優しい青年はお星様を列車に促した。

そして、手書きの切符を渡して言いました。

「はい、これが君の夜空への片道切符だよ」

青年は車掌のように偉そうな帽子をかぶると、たった一人の乗客をのせて夜空の旅へ出かけました。

夜空に着くまで、青年は車掌のように切符を切ったり、楽しい冗談を言って、お星様を楽しませました。

しかし、そんな時間も長くは続きません。

お星様のあるべき夜空へとついに到着してしまいました。

「夜空の階段~、夜空の階段~」

車掌の真似事をして、青年が言いました。

そして、お星様は列車からおりました。

「ねえ、車掌さん。記念にこの切符をもらってもいい?」

青年は言いました。

「いいですよ」


銀河をかける列車に乗って、青年はお星様の夜空の階段を後にしました。

お星様は何気なく切符の裏を見ました。

そこには青年からの言葉が書かれていました。


『好きでした』


お星様は夜空の階段に戻ったのに、わんわん泣きました。

お星様も青年の事が好きだったのです。

それでも、青年もお星様も言わなかったのです。

お星様の元に二度と青年が現れることはありませんでした。

けれど、時折、落ちてしまった星達が『銀河鉄道』という列車によって夜空に戻される事がおこりました。

お星様は思いました。きっと、彼の夜空を走る列車の事だと・・・。

こうやって噂を聞くだけで、お星様の胸はいっぱいになるのでした。


けっして結ばれなかったお星様と青年は今も夜空の彼方で、それぞれの仕事を全うしていることでしょう。



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