第2話不幸な男2
ヴィランとの戦闘が終わり、5人は急いで男の手当をした。
「ねえ、どうしてあんな怪我をしていたの?」
しばらくして男が話せるまでに回復し、倒れたいきさつを聞くことができた。
「すまないな、助けてもらって。実は黒い奴らに襲われてな。」
「黒い奴らってヴィランのことかな?」
「そうみたいね」
「君たちのおかげで助かった。悪いな、何もお礼できることがなくて。」
そういうと男は立ち上がりよろよろと歩きだした。
「待って!どこ行くの?まだ動いちゃダメよ」
レイナが歩き去ろうとした男を阻止する。
「しかし、迷惑だろう?」
「何言ってるの!そんな状態でどこかに行かれるほうが心配でしょう。そのほうが迷惑よ」
レイナはふらつく男をもう一度倒木に座らせた。
「少なくともちゃんと歩けるようになるまでは安静にしてなきゃだめよ。」
「ああ、わかった。そうさせてもらうよ。」
「じゃあどこか安静にできる場所を探さなくちゃね。」
安静にできる場所を探すため近くに落ちていた太めの木の枝を杖にして男は森の中を歩き、時折よろめく男をレイナが支える。
突然レイナは頭に何かトゲが刺さるような痛みに襲われた。それも1回ではなく何回も。
「きゃー!痛い痛い痛い!なになになに!?」
レイナは突然のことに驚き、頭を抱えてしゃがんだ。
「イタタタタタッ!うわっ!!!!!」
隣にいた男もレイナと同じ痛みに襲われたらしく頭を手で覆いその場から急いで逃げる。しかし、まだうまく歩けなかったらしくよろめき豪快に転倒した。
バシャーーン!!
男が倒れた先にちょうど水たまりがあり、男の顔は吸い込まれるかのように水たまりへと突っ込んだ。
「なに?なにが起きたの!?」
レイナは周囲を警戒するようにあたりを見回した。
「はっはー!お嬢、運が悪かったな!」
レイナがタオの方を見上げると栗を片手に持ってこちらを見て笑っていた。
どうやら栗が頭に落ちてきたらしい。
「もーー!少しは心配しなさいよー!」
レイナは自分に落ちてきた栗を1つ拾うとタオに向けて投げた。
「姉御姉御、姉御よりかわいそうな人がいますよ」
シェインの視線のほうを見ると水たまりに頭をつけた状態の男の姿があった。
「どうして・・あんなことに?」
レイナがシェインにたずね、一部始終を見ていたシェインは淡々と答えた。
「姉御同様、頭に栗があたり慌てて逃げようとしてよろめいて水たまりに転んだようです。」
男はなんとか杖を使って起き上がった。
「はは・・びしょびしょだよ・・・」
男は苦笑いで自分の状態を確認した。
「大丈夫~?」
「はっはー!あんたも運が無かったなー。」
ファムは心配しているのかわからないような呑気な口調で、タオは茶化すように男に声をかけた。
エクスたちはしばらく歩き、洞窟にたどり着いた。
「ここならいいんじゃない?」
エクスはそう言うと洞窟の中に入り危険が無いか確認する。
「特に危険は無さそうだね」
6人は洞窟の中に入り、しばしの休息をとることにした。
「雨が降ってきたね」
エクスが外を見るとぽつぽつと雨が降ってきており、次第に勢いが強くなっていった。
「あぶねー。洞窟があって助かったぜー。さあ、さっき収穫した栗でも食うか!」
そう言って栗をイガから取り出し、皮をむき始めた時だった。
「クルルルゥゥゥ・・」
「ありゃ~ヴィランたちが洞窟に入ってきちゃったね~」
「おいまじかよ!せっかく栗を食おうと思ったのによ。」
「しかたないよ。まずはヴィランを倒そう!」
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