第2話

――桃太郎とあかたろう、それぞれの話を聞き終えた僕たちは、タオの提案でひとまず桃太郎がきびだんごをなくしてしまった場所まで引き返すことにした。


エクス「このあたりなんだよね。桃太郎とあかたろうが初めて出会った場所って」

あかたろう「はい。ぼくがここに立ってて、その人はそこの木陰に倒れて・・・もとい、寝てました」

タオ「桃太郎。ちょっくらその時の様子を再現してみせてくれ」

桃太郎「こうか?」

シェイン「ふむふむ。ちょっとシェインが桃太郎さんの周りを一周するので、見えなくなったら声をかけてください」

桃太郎「承知した」

エクス「確かに、ここから見ると桃太郎の上半身が草むらに隠れて足しか見えないから、死体が転がってるように見えなくもない・・・かな?」

あかたろう「そうでしょう? 野ざらしにされるのはかわいそうだから、埋めてあげようと思ったんです」

レイナ「へえ。一見ヘタレっぽいのに、意外と勇気があるのね」

あかたろう「へたれ?」

シェイン「うーむ。桃太郎さんの場所からだと、死角になりやすいところがいっぱいですね」

タオ「たまたま目を覚ました時にあかたろうが居合わせちまっただけじゃねえのか?」

桃太郎「それなら、拙者のきびだんごはどこへ行ったのだ」

レイナ「うーん・・・桃太郎が寝てる間に、野犬に持ってかれちゃったとか?」

タオ「さすがにそれはないだろ。犬に気づかないとかどんだけ抜けてんだ」

あかたろう「でも、この人ぼくが近づいてもしばらくは眠りこけてましたよ」

全員「・・・・・・」

レイナ「やっぱり野犬に食べられちゃったんじゃない?」

桃太郎「違う!」

タオ「どうだかなぁ?」

エクス「桃太郎に近づいたとき、きびだんごがまだあったかどうか覚えてる?」

あかたろう「そこまではさすがに・・・」

エクス「うーん。何か、手がかりになりそうなものとかが落ちていればいいんだけど」

シェイン「案外、犯人が戻ってきたりするかもですよ。ほら、よく言うじゃないですか。犯人は必ず、一度現場にもど・・・」

あかたろう「!」

エクス「今そこに誰か!」

シェイン「もしかしてシェインの推理、あたっちゃいました?」

レイナ「ちょっとうまく行き過ぎじゃない?」

タオ「ゆったり話してる場合じゃなさそうだぜ、お嬢、シェイン! 見ろ!」

桃太郎「くっ またも化け物が!おのれ邪魔立てするな!」

エクス「あかたろうを見失う前に、ここを突破しよう!」



ヴィラン戦




鬼姫「・・・」

あかたろう「いた! やっと追いついたぁ」

鬼姫「!」

あかたろう「ま、待って、刀構えないで! けっして怪しいものではないんです、ただちょっと聞きたいことがあるだけで」

鬼姫「おぬし、その頭巾の下のそれはもしや、角か?」

あかたろう「あれ? わかっちゃう? うまく隠せてたと思ってたんだけど・・・その通り、ぼくは君と同じ鬼で、名前は赤鬼。いなくなった親友を探して旅をしていて、今もそのことで君に聞きたいことがあって追いかけてただけで敵意があるわけじゃないから、そろそろ刀を下してほしいかなーっと・・・」

鬼姫「頼む! おぬしの知恵を貸してほしい!!」

赤鬼「へ?」

鬼姫「会って間もない旅鬼のおぬしを巻き込む非礼を許してほしい。だが私には時間がないのだ。どうか、同胞のよしみで力添えを」

赤鬼「待って待って! 全然よくわからないんだけど、とにかく君の置かれてる状況を、端的に、わかりやすく、一言でまとめてみると?」

鬼姫「桃太郎のきびだんごを、盗んでしまったのだ・・・」

赤鬼「・・・・・・え? ええええ!!???」








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る