第19話 星撒き

「ユキと豆まき楽しかったね」

「カリカリしてて美味しかったよ」


 ユキと節分をした、チョビさんとクロさん。

 チョビさんは豆を追いかけ散らかして…クロさんは豆を舐めたり、噛んだり…。

 ユキは夜に掃除機をかける羽目になってしまいました。


『月光商店街』でも冬最後のイベントが行われます。

 街の星雪を公園に集めます。

『星の加工場』からも星雪の欠片が公園に集まります。


「よぉーし、始めるぞ!」

 町長猫が開始の掛け声を掛けると、星の欠片を星雪で包みます。

「チョビさん、おにぎりみたいだね」

「食べちゃダメみたいだよクロさん」

 2人もギュッギュッと握ります。

 キロキロと軽やかな音を立てて箱に集められた星雪。


「1列に並べ!」

 工場長が一人一人に握られた星雪を渡します。

「地上へ降り注げー」

 みんな一斉に星雪を地球めがけて放り出します。


 フワフワと宇宙を漂う星雪は、次々に地上へヒュッと落ちていきます。


「アレはなに?どんな意味があるの?」

 クロさんが町長さんに聞きます。

「ん~、地上に住む猫達の願いを叶えに地上へ落ちてくのさ…」

「ホントに?」

 チョビさんが驚いたように聞きます。

「さぁね…昔からそう言われてるだけさ…」

「ふぅん」

「ホントだといいね」

「そうだね…」

「よぉ~し、みんなのお願い叶えておくれ~」

 クロさんが両手に、いっぱいの星雪を宇宙そらへ巻きます。

「豆まきみたいだね」

 チョビさんが笑います。


 野良ネコの目の前でキロンッと弾けた星雪は…何を叶えてくれるのでしょう…。

 地上で暮らす、すべての猫達に幸あれ…。

「福は内」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る