第12話 ほんのり甘い星の雪

 公園に集められた大きな星。

「この星…どうするんだろう…」

 クロさんが首をかしげる。

「また戻すんじゃない?天の川に」

「えっ?、また運ぶの?」


『違うよ、その星はね…そうだ…手伝ってくれないか?私からの依頼として』

 お月様が2人に声を掛けました。

「何をすればいいの?」

 チョビさんが空を見上げながらお月様に尋ねます。

 お月様の上に立っているのに、不思議と空に向かって話しかけてしまいます。

『選ばれなかった人達ねこたちが『星の加工場』に運んでいくから付いて行ってごらん』

 言われるままに、星を運びながら『星の加工場』へ向かいます。

 コロン、コロンと星を転がしながら、よいしょ、よいしょと運びます。


『星の加工場』では、カチン・コチンと星をトンカチで叩きながら働いてる人達ねこたちがいます。

「親方!今年も沢山、星が集まってきましたね」

「おうよ!今年も沢山、星雪ほしゆきを降らせるぞ!」


 それを聞いていたチョビさんが親方に尋ねます。

星雪ほしゆきって何?」

「おぅ!星雪ほしゆきを知らねぇのか?」

「知らん」

 チョビさんがサラッと言います。

「やれやれだぜ…よしっ!これから星雪ほしゆきを降らせるか…ちょっと早いけど、初、星雪ほしゆきの夜にするか」

 そういうと、『星の加工場』は大忙しです。

 みんなバタバタ忙しそう、アッチでニャーニャー…コッチでニャーニャー。


 しばらくすると…大きな機械がゴウン、ゴウンと動き出します。

 砕いた星をザラザラと機械に流し込みます。

 ちょっとすると、機械からモクモクと白くて黄色い雲が湧きだします。


「よぉし!良い雲が出来たぞ!」

 親方が満足そうに頷きます。

 チョビさんはワクワク・ワクワクしてピョコン・ピョコンと跳ねてます。

 クロさんも、うわぁーと雲を見上げています。


 しばらくすると…大きな雲が『月光商店街』の上を覆います。

 すると…大きな雲から、ポロン・キロンと小さな音を立てて、白くて、ほんのり黄色い雪が降ってきます。

「クロさん!雪だよ!」

 チョビさんが走り出します。

「うわぁー素敵だ…」

 クロさんは口を開けて、雪を食べようとします。


 口の中にキロン♪と入った雪は、冷たくありません。

 ほんのり甘いだけ…でも口に入るとシュワッと消えます。


「この雪冷たくないよ」

 チョビさんも雪を丸めながら不思議そうな顔をしています。


『それが、星雪ほしゆきだよ、月には雪が降らないから…冬には星で雪を作るのさ』

「これが星雪ほしゆき

『そうだよ…それが星雪ほしゆきさ、雪の降らない月の冬…白くて甘い雪が降るのが、月の冬なんだよ』

「へぇ~、地上の雪とは違うんだね~」

 クロさんが星雪ほしゆきを食べながら言います。

 チョビさんは星雪ほしゆきの上で跳ねまわってます。


「クリスマスが、ますます楽しみになったよ」

 クロさんが笑います。

「僕も!必ず来ようねクリスマス」


 クリスマスが楽しみな2人。

 ほんのり甘くて白い街並みは、とても、とても綺麗なのです。

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