第11話 星を捕まえに行こう

『依頼だよ、探偵さん達…早くおいでよ』

 お月様に呼ばれて、2人は月まで駆け出します。

 キロン♪ポロン♪と軽やかな音を立てながら月の街へ行くのです。


 事務所に入ると、子猫が待ってました。

「探偵さん、僕のお願いを聞いておくれよ」

 目が合うなり困ったように口を尖らせてます。

「お願いってなに?」

 チョビさんが聞くと子猫は

「あのね…ツリーの先に飾る星を一緒に採りに行ってほしいんだ」


『月光商店街』ではクリスマスに大きなクリスマスツリーを広場に飾るのです。

 その先端に飾る『星』は、毎年一番大きくてピカピカな『星』を採ってきた猫が自分で飾れるのです。

 大変、名誉なことなのです。


「毎年ね…一番になれないんだよ…今年は一番になって、僕の『星』をツリーに飾るんだ。ねっ手伝っておくれよ~」


 2人は子猫に押されるように『天の川』へ出かけます。

「うわぁ~星がいっぱいだ~」

 クロさんが驚いています。

 無数の星が流れていく『天の川』、星がぶつかるとキロン♪と軽い音が響きます。

 黄色い星…白い星…小さな星が無数に流れ綺麗な音色を響かせるのです。

「なんだか楽しい場所だね」

 チョビさんは手で小さな星を、すくってみます。

 すると、星は手の中でキラキラと輝いてキロキロキロキロ♪と小さな音を立てるのです。

「うわぁーなんだかステキだぞ」

「ダメだよ…ここは下流だからね、小さな星しか流れてこないんだ、もっと上流に行かなくちゃ大きな星は無いんだよ」

 子猫が言います。

「そうなの?」

 クロさんが聞きます。

「そうだよ…そんな小さな星は、すぐに光らなくなっちゃうんだ…クリスマスまで光る大きな星がいるんだよ」

「なるほど…それで大きな星がいるわけか…」


 チョビさんが子猫の手を引いて上流へ向かいます。

 クロさんは街へ星採り網を買いに行きました。


 上流への道は険しく…なるほど子猫では難しそうです。

(クロさん大丈夫かな?)

 チョビさんは小さくて身が軽いのですが…クロさんは大きくてチョビさんほどジャンプできません…チョビさんは心配になりました。


 どんどん…どんどん…上へ進むと、大きな滝がありました。

 滝からは大きな星がゴロン…ゴロン…と流れてきます。

「うわぁー大きい星がいっぱいだー」

 子猫とチョビさんは大はしゃぎです。


 しばらく待っていると、クロさんが息を切らして登ってきました。

「こんな上まで来たのかい?皆はもっと下で採ってたよ」


「へへへ…だからもっと上へ、もっと上へって滝まで来ちゃった」

 チョビさんが笑ってます。

「まぁいいや…じゃあ採るよー」

 クロさんが大きな網を星に投げます。

 力持ちのクロさんが、エイッと網を引くと…大きな星がゴロンと手元に転がってきます。


「これなら一番間違いなし!」

 子猫も満足そうです。


 皆でヒイッ…フウッ…言いながら公園に運んで子猫の名前を彫っておきます。


 何日かして『星選び』の結果は…。

 子猫の星でした。

 大きさも輝きも文句なしです。


「探偵さんありがとう」

 子猫は、誇らしげに、大きな星をツリーの先端に飾ります。

 キローン♪と大きな音色が響き、皆が歓声をあげて拍手します。


「クリスマスにまた来ようね、クロさん」

「もちろんだよ…ケーキにチキン楽しみだよ」


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