第6話 怪盗現る

 そして満月の夜。

 いつものように道はキラキラ輝いて、歩くたびにピカリと光ったり、キロンと音を響かせたり。

 2匹は事務所で着替えると、『月光博物館』へ急ぎます。


 博物館の『初代町長の首輪』の前へ…。

「間に合ったね」

 クロさんがチョビさんに声を掛ける。

「うん…これが宝物?」

「う~ん…そうなんだろうね…」

 首を傾げるのも無理はありません。

 豪華なわけではなく…なんというか、薄汚れた首輪。

 鈴なんて錆びている。


「それは…初代町長の首輪でね…思い出の品なんだよ」

 館長さんが後ろに立っていた。

「そう…思い出…私たちの父親のね」

 館長さんの後ろから、オレンジの仮面を付けた猫が姿を現す。

「だから…返してもらうわよ」

 もうひとり、青い仮面の猫がスッと表れる。

「館長さん彼女達は?」

 クロさんが館長さんに聞くと

「館長さんは、マタタビに夢中よ」

「えっ…お前は誰だ!」

 チョビさんが館長さんに飛びかかる、シュッとチョビさんの爪を交わして正体を現したのは、紫の仮面を付けた猫。

猫面Eyeキャッツラアイ参上!」

 テレッテェ~♪ 街は煌めくパッションフルーツ♪

「首輪頂戴いたします」

 オレンジの仮面の猫が素早く首輪を咥える。

 青の仮面の猫がマタタビを投げつけ、紫の仮面の猫が窓を割る。

 アッという間に怪盗猫面Eyeキャッツラアイは月夜に消えた。


 にゃにゃにゃにゃ~…ふにゃ~。

 2匹は酔っぱらったように・・・それでも猫面Eyeキャッツラアイを追いかけます。

 う~ん…無理でした…。

 マタタビで千鳥足で追えるものではありません。


 まんまと逃げられてしまいます。


 別の夜。


 喫茶店でお茶を飲むクロさんとチョビさん。

 3姉妹が営む、マタタビ茶が評判のお店です。

「へぇ~それで逃げられちゃったの?」

 真ん中姉さんがクロさんに聞きます。

「そうなんだ」

 クロさんが肩を落とします。

「でも、今度は捕まえるよ」

 チョビさんは憤慨してます。

「捕まえられるの~」

 上の姉さん猫にからかわれます。

「意気込みだけじゃあね~」

 妹猫はチョビさんを馬鹿にしたように言います。


 怪盗猫面Eyeキャッツラアイは誰なんでしょう…。

 いつか気づくといいですけど…。



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