第5話 探偵らしく?

 今夜は、なんの依頼もありません。

 基本的に、猫しかいない月の街…。

 事件なんてめったに起きない、のんびりした街です。


 お月様が見守る、月の街。


「ふわぁぁぁぁぁ~」

 大きなアクビをするチョビさん。

「今日も誰も来ないね~」

 クロさんもソファで丸まっています。

「探偵っていっても…それらしいことしてないね…」

 チョビさんがしっぽをパタリパタリと振りながら窓から街を眺めます。

「そうだね…」

 クロさんは眠そうです。

「そうだ!ねぇ買い物に行こう!探偵らしいものを買おうよ」

 チョビさんが言いました。

「探偵らしいもの?」


 ☆☆☆☆☆☆

「コレと~コレもいるよね…あとは、アレも」

 チョビさんは、張り切ってアチコチの店を回ります。

「じゃ~ん!どう?」

 黒いシルクハットにトレンチコート、片手に虫眼鏡のチョビさん。

「それじゃ怪盗だよ…僕はねぇ~」

 とクロさんは…

 グレーのディアストーカーハットにインバネスコート、パイプを咥えてます。

「古くない?」


 まぁ、気に入ったならいいんですけど……。


 事務所に戻った2匹を、お客が待っていました。

「あぁ探偵さん…助けてください、博物館に、こんなものが届けられたのです」

 依頼人は『月光博物館』の館長さんです。

「どれどれ…拝見」

 クロさんは、すっかり名探偵気取りです。

 差し出された黒いカード。

『次の満月の夜、初代町長の首輪を頂きます』…怪盗 猫面Eyeキャッツラアイ


「怪盗?!ホントに?」

 チョビさんが、はしゃぎます。

「任せてください、首輪は盗ませませんよ」

 クロさんが髭をピンと弾いてニヤリと笑いました。

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