第6話 こどもは“愛玩動物”なのか?

こんにちわ、しろまるです。


さっきTwitterで、保護動物の記事を読んで、「あれ?これって似てるな」と思ったので書きます。


保護動物とは、捨てられて保護されたペットですが、この捨てられたペットの多くは、飼い主が見つからなければ殺処分されます。ところが、なぜか新しく生まれたペットは販売されており、傍から見れば「供給過剰では?」と思わざるを得ません。


「かわいい!」と思って飼ってみたはいいけれど、都合によって飼えなくなると捨てる。殺される。このサイクルはいつまでもなくならないばかりか、むしろ、「それでいい、そういうもんだ」という、ひとつの循環になっているような気がします。


食品の流通で言うところの、ロス。廃棄処分すればいい、ということですね。


…で、客観的に見れば、ペットは余ってるんだから、保護されたペットを、欲しい人が育ててあげればいいんじゃない?ってことなんですが、どうやら、「ペット飼いたい」という人の約半分が「保護動物は嫌だ」と回答しているそうです。


中古品は嫌だ…ってことですよね。


誰かが捨てたような中古品に金をかけたくない。誰かのお下がりは嫌だ。懐かないかもしれないし、懐かなかったら可愛くない。成犬になっちゃうと、見た目がかわいくない。などなど。


ということは、「ペットを飼いたい!でも保護動物は嫌!」と答えている人は、「ペットが欲しい」のではなく「自分に都合の良い存在がほしい」のです。


では、「ペットを飼う」ってどういうことでしょう。


ペットは生き物です。ご飯を食べますし、病気もするかもしれません。気分によっては甘えてきたり、逆に相手をしてくれないこともあるでしょうし、いたずらをしたり、飼い主を噛むようなこともあるかもしれません。ということで、そんなに都合の良い存在ではありません。


ところが、「ペットを飼う」ことに夢見る人は、自分の都合を押し付けて、甘えてくれたり、懐いてくれたり、粗相をすることもなく、病気もしないことを、期待しているようです。


さて…ではこの「ペットを飼う」の場所に「こどもを育てる」という言葉を入れ替えてみるとどうでしょうか。


「こどもが欲しい」「こどもを育てたい」これらの希望は、生物的に自然なことかもしれません。そのため、ある年齢に達すると、自然と結婚願望や妊娠願望が出てくるのは当然のことかもしれません。


ただ、中にはこの「こどもを育てる」に関して、「ペットを飼う」のと同じ感覚を持っている人がいます。


「自分で産んだこどもは、自分だけのものだ。当然、実の親に懐くし、親の言うことは聞く。顔も体も親に似るからかわいいと思えるし、考え方も親に似ているに違いない」


ところが、いざ生まれてみて、現実と理想にギャップがあることに気がつきます。


私が産んだ子なのに、かわいくない。

私が産んだ子なのに、懐いてくれない。

私が産んだ子なのに、言うことを聞いてくれない。

私が産んだ子なのに、私に似ていない。

私が産んだ子なのに、反発してくる。

私が産んだ子なのに、健康じゃない。


ペットと違って「捨てる」という選択ができませんから、期待に応えてくれない自分のこどもに対して、愛情を持つことができません。


〇毒親は都合の悪い子が大嫌い


私も散々、母親から言われましたが「どうしてあんたは私の子なのに足が遅いの?」だとか、「勉強ができないの?」だとか。


また、自分の意見がはっきりしている私に対して「なぜ親に反発するのか。あんたにとって親がすべてのはずなのに、どうして親と違う意見を持つのか」などなど。


つまり、私は親にとって“都合の悪い子”であったがために、親としては“躾と称して”堂々と言葉による暴力が行われていたわけです。


「ペットだったら捨ててもいいのか」「虐待してもいいのか」って話にもなりますが、はっきり言って、ペットもこどもも、虐待していいはずがありません。


ペットを虐待するような人間が、間違いのない子育てなんてできるとは思えません。親失格。


…で、そんな「飼い主失格・親失格」の人たちから見ると、“都合の良いペット・都合の良い子”が欲しい、という構図が常識としてまかり通ってるんだなあ、というのが現状です。


こどもを育てるって、そんな都合の良いことではありません。でも、毒親はこどもに自分の理想を押し付けます。


私の母親がよく言っていました。


「こんなはずじゃなかった」


どうなれば満足だったのか知りませんが、ペットを飼うことも、こどもを育てることも、そんな簡単なことではありません。思い通りにならないことの方が多いです。


毒こどもは、捨てられたペットみたいなものです。


幸か不幸か、殺処分されることはありませんが、殺処分されないまま大人にならなければならない、という事実だけ見れば、これはこれで残酷な現実です。


つづく



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