第10話 戴火祭
開いた窓から入って来た風で、カーテンが少し揺れる。乾いていて、少し冷たい。風は木の窓枠を掴み飛び込んで、ローザの赤い髪を軽く撫で、部屋の隅の方へ溶けていった。彼女が冷えてきた手を伸ばすと、灰色の羽毛に辿り着く。指先は柔らかい毛に優しく包み込まれた。暖かい。やはり生き物の体の一部なのだ。ローザの目の前には、ゆるやかに広げられた灰色の翼があった。ムイが彼女に背中を晒し、椅子に座っているのだ。隣に置いた小さなテーブルの上には、人が髪を鋤くときに使うのに似た形状の櫛と、表面を軽く拭く用の手拭いとたらい一杯の水、翼を手入れするための香油が注がれたボウル状の皿。香油は色の濃い見た目とは裏腹にさらさらとしており、その正体は、木の実や薬草などを磨り潰して作った液体だ。島や家庭によって配合が違い、種別と系統は多くの分化を遂げているのだという。
ムイのよく好んで使うものは、じっくり燻した油分の多い木の実に、少しのミント油を射したような香りがする。他にも何かが混ざっているようだが、教国人でもないローザには分からない。この独特の香りにも、何度も嗅げばさすがに慣れてくるものだ。香りは始めこそするが、乾いてしまえば殆どなくなるのも知っている。始めて向こう、ムイは殆ど動かないでじっとしていた。彼もそろそろ、ローザに触られるのに違和感がなくなってきたのだろう。翼の毛は大人しく寝ていた。昔は塗る分量や加減が分からなかったし、何が原因だったか未だに不明だが居心地悪そうにされたり、特定の部位でやたらと擽ったがったりされたものだ。
最初にたらいの水へ手拭いをつけて絞り、翼の汚れを適当な範囲拭き取る。それから櫛に香油を適量つけ、人族の髪を鋤くように、毛並みに沿って塗って行く。翼の付け根から先の方へ向かって、交互にそれを繰り返す。それが終われば、裏側にも同じ事をする。
本人では届かない翼の手入れをするのも、風晶騎士団に属する騎士の役目だった。頻度は大体一週間に一度、定期的に。本来は家族同士で塗りあったり、身分の高い者であれば、信頼のおける使用人に命じてやってもらう仕事だ。翼晶族にとって翼とは大切なものであり、種の誇りであり、そう易々と他人に触らせてはいけない身体的部位だった。
今朝は少し肌寒いが、この作業は時期に関わらず水でやらなければいけない。翼の健康が損なわれてしまうのだ。暖かい上着を着ているが、手だけが冷たくなってきた。そろそろそういう季節なのだと、せっせと働きながらローザは思う。王国人は各々押し入れから冬服や防寒具を出し、これからに備えて肉、魚、果物から保存食を作り始める。彼に出会うまでローザは、それを見て秋が訪れた事を知ってきた。この時期暖かい服を出すのは教国人も同じだが、翼が冬毛へと変わるそうだ。ムイの翼は、夏の頃と比べて毛量が多いし厚みがある。翼晶族の毛で季節を感じたのは、今年が二度目だ。ムイはローザの動きに合わせて、その都度翼の角度を変えたり広げたりしてくれる。
翼晶族の翼は大きいので、ローザが作業しやすいよう配慮しての事だった。最後に、櫛で先の方を数回撫でる。手入れが終わり、ムイはそっと一息ついた。
「はい、お疲れ様でした。最近は、大分上手になりましたね」
「そうか?」
「そうですよ。手が寒いでしょう。暖かいお茶でも淹れましょうか」
「いや、自分でやる。お前は翼を乾かすといい」
零れた香油を拭いてから、ローザは立ち上がる。大きい方のテーブル上にはお盆があり、紅茶道具一式が二人分置かれている。宿の従業員が持ってきた時は、丁度手入れをしている最中だったので、そこに置いて貰ったのだった。
翼が完全に乾くまでが手入れ作業だ。広げていなければ乾きが遅くなる。普段ならば休日はゆっくりしていても問題ないが、今日は二人とも午後から予定があるのだ。
「お前の分も淹れてやる」
「では、お願いしますね」
いちいち聞かずとも、もう覚えている事だった。ローザの分には何も入れず、ムイの分には角砂糖をひとつとミルクを適量入れる。ローザが二人分の紅茶を用意し終わった頃、軽いノックの音が響く。
続いて、遠慮がちな若い男の呼び声。腰を浮かせるムイを片手で制し、ローザは静かに扉を開ける。
「ちょいと、すまねぇだが」
目の前には、不審感を顔に貼りつけた一人の男が立っていた。身なりからして旅人の類だろう。帯剣などをしている気配はない。発音には少し北方訛りが含まれている。
「隣部屋のもんだけど、おたくら何やってんだ。何か臭えってか……」
「すまない、換気のために窓を開けていた。翼晶族の翼を手入れしていて」
隣部屋からの来訪者は苦い顔をした。勝手にやっていると思われてはいけないと思い、ローザは急いで一言補足する。
「宿屋の主人に許可は取ってある」
いつの間にか一枚着ていたムイが、ローザの後ろから顔を出した。眼鏡の奥には、普段通りの微笑みを作っている。
「あー、すみません。翼晶族は定期的に翼を香油で拭かないと、虫がついたりしちゃうんですよ。と言っても、毎日やる訳ではないので御容赦願います」
「あんたヨクショウ族か、初めて見た。そんな事になるんか」
「人族が洗髪剤で頭を洗わずにいると、虫がつくのと同じですよ」
男からの返事はなく、代わりに口から曖昧な短い音を漏らす。どうやらある程度は納得したらしい。
このまま平穏無事にやりすごせそうだとローザが安心した直後、突然扉の端から別の顔が飛び出して来た。
「レイフ、せっかく運んで貰ったお茶が冷めちゃうぜー?」
そばかすが印象的な、よく言えば明るい、悪く言えば浮わついた立ち振舞いの少年だった。もしかすると童顔気味なだけで、成人しているのかもしれないが。北方訛りの男よりも背が低く、痩せ型だ。新たな来訪者はローザ達の顔を順番に見て、人好きのする笑顔で少し歯を覗かせた。
「おっ、あんたらも旅人? もしかして今日の戴火祭見に来たの?」
「そういう事になるな」
「奇遇だなあ、俺達と同じじゃん! ねーねー綺麗なお姉さん、よかったら俺と一緒に今夜」
「ったくおめーは女と見りゃナンパばっかして、そういう態度がいかんっていつも言ってるだがよ」
二人は何とも言えない表情で、ただただ眺めるばかりである。北方訛りの男は邪魔したなと言うと、そばかすの少年を引き摺るようにして隣部屋へと戻って行った。
陽が落ちる頃に、この日の王都は一層美しくなる。大地の恵みである野菜などを模した、または野菜そのものを使った装飾で、玄関や街灯が飾られている。どこもかしこも、思い思いに粧し込む。何の変鉄もない煉瓦で出来た壁でさえも、人々の賑やかな影を写し浮かれているように見える。自然豊かな王国を讃えて、時々風が国旗を靡かせる。主会場に指定されたルーミッテ通りを行き交う人々は多く、中には翼晶族の姿も混じっていた。王都の中でも一際整備されたこの大通りは、街路樹が等間隔に植えられ、足元の石畳には数色の石で規則正しい模様が作ってある。貴族の馬車が擦れ違ってもなお、道幅に余裕がある程広い。
ローザとムイは二人並んで、自由気ままに王都をぶらついていた。暖かい格好に身を包んでいれば、暗くなるにつれ増してくる寒さも気にならない。人の密度が多いので、場所によってはむしろ暑いくらいだ。
気づけばその、ルーミッテ通りに足を踏み入れていた。翼晶族の男は道中の色々なものに興味を示し、その都度ローザへ質問をしてくる。それにローザが、持てる限りの情報をもって答えて行く。時々王国人では考えもつかない質問が飛んできて、処理に難儀する場合もあった。答えが得られなくてもムイは落胆する事はなく、むしろそういった状況こそを楽しんでいるように見える。彼にとって初めて本格的に参加した戴火祭だからだろうか、ローザから見れば、いつもより表情が素直に変わっているように思えた。ムイが感情を表現する時、必ずしも本心と一致する訳でない事を、この頃ローザは何となく察していた。
ともあれ、珍しくローザがムイに色々教える側になり、彼女は少しばかり得意な気分がする。祭りの前に予め調べておいた甲斐があったし、自分の国の事柄を改めて知れた。大抵は実際見た方が理解できる。
そこで初めて生まれる疑問もあれば、直接雰囲気を感じたり、何かを食べたりする事も重要だ。日々野宿や命のやりとりをしていると、こういう機会はなかなか設けられない。ローザはそんな訳で、ムイにも体験して貰おうと手頃な店に案内する。
戴火祭に特別大きい腸詰めを食べ金南瓜のスープを飲むのが、王国人の習慣だ。王都は勿論大地の女神信仰の地域で、屋台や飲食店にもこの時期メニュー表によく追加される二品だ。古くは家々の貴重な家畜を、神に感謝するため一頭肉にしたのが始まりと言われている。金南瓜は、くりぬいた中身を料理に使う。
皮だけになったその中に蝋燭を入れれば、無事冬を越すための祈りの炎となる。最後に藁などで作った巨大な籠へその年の収穫物と家畜を模した人形を入れ、神への御礼のためルーミッテの広場で盛大に燃やす。神界との境が揺らぐこの日に、火によって霊が惑うのを防ぐ意味合いもある。人族の世界は、大地の女神がもたらした火によって導かれ、今日まで発展してきた。
屋内は満員だったのでテラスに案内されたが、景色が見えるのでこれはこれでいいだろう。
ローザの前には、大きな腸詰めと、干し葡萄と胡桃を混ぜた黒パン、金南瓜のスープが置かれている。
ムイは宗教上の理由で腸詰めが食べられないので、スープとパンだけを頼んだ。しかし案の定、酒を飲みたがっている。この日くらいは我慢しろと言うが、ローザの一言程度で止められるならとっくの昔に禁酒成功しているはずだ。
王国では戴火祭の日、神の子が一人選ばれる。と言っても毎年ではなく、使命が回ってくるのは五年に一度だ。歳と性別は関係なく、善なる者か悪なる者かも関係ない。大地の女神が欲した人間のみ神の子となる。神の子は籠が燃えるのを見届けた後で、神官達に連れられて神殿に入り、使命を終えた後も残りの人生を神と共に過ごすのだという。そうする事で、王国は豊かな恵みという加護を神に約束される。一度神殿に入れば、肉親ですら最期まで面会が許される事はない。まるで生贄なのだ、とローザは思うし、実際そのように言う者達もいる。ちなみに今年は該当していないので、普通の戴火祭が行われていた。こういう戴火祭の方が平和でいい。そう思いながら腸詰めを切り分け、口に入れる。香辛料や香草の影響で味付けは少し辛めで、その分脂の甘みが引き立っている。
「私もそれは、耳にした事があります。教国だと百年に一度ですね。若い女性か少年に限られるんですが」
「どうして、女性と少年だけなんだ?」
「天空神が男神だからだと思いますよ」
ムイはややぼんやりとした口振りで返事をすると、また赤葡萄酒をグラスになみなみと注ぐ。今日は何だかペースが早いようだ。料理が届いてからさほど経っていないのに、二本目を開けてしまうのも時間の問題だろう。機嫌がいいだけのように見えるが、ローザは少々の落ち着きなさを感じ取った。ムイがひた隠しにしている『色』が、もしかしたら関係あるだろうか、と根拠のない推測をする。
「もし神がいなければ、こんな儀式をしなくてもいいんだろうか……」
つい口をついて出た言葉。ローザは背凭れに寄りかかって俯く。周囲は御機嫌な話し声と、酒の飲み交わされる軽快な音、肉が焼けるいい匂いに包まれていた。二人のテーブルだけが嫌に静かだ。向かい合って座る二人の側を、老人と幼児が通り過ぎて行く。彼は自分を急かす孫を見守りながら、転ばないよう優しく注意する。久しぶりに仕事を気にせずじっくりと酔っ払い、いい気分になっている王国兵達。道の向こうでは翼晶族の女が、教国模様の絨毯を敷いて露店を開いている。今日は祭りという事で、異種族間交流も兼ねて一部での屋台や見物を許可されているのだ。教国の石や金属を使った装飾品は、祭りの灯りの下で妖しく煌めき通行人の目を引く。比較的手頃な値段のものが揃えられているらしい。冬の装いをした四、五人の人族少女が身を寄せあって、あれが似合うこれが可愛いなどのお喋りに花を咲かせる様は、福羅雀の群れが囀ずるようだ。
この時だけはもうすぐ訪れる冬の厳しさを忘れ、広場で、路地裏で、建物の中で、多少の事は無礼講。
誰もが祭に浮かれる王都。しばらく耳を澄ましていても返事はない。ムイは微かにため息をついた後、顔を反らし黙ってしまったのだ。移ろっていく雑踏を、酒の混ざった目でただただ眺めている。どこかで祭楽隊の音が聞こえて、ゆっくりと遠ざかって行く。もしかするとローザが聞こえていなかっただけで、一言くらいは何かを言ったのかもしれなかった。聖職者の前で妙な発言をしてしまったと後悔し始めた頃、突然ムイが体の向きを直し、身を乗り出して来た。今度ははっきりと、しかしぎりぎりローザに聞こえる程度の小さな声で唇が動く。
「神を殺すには、どうすればいいと思います?」
瞬間、ローザは心臓が握られる気分がした。誰にも見えない、強い力だった。またこの男は突拍子もない事を言って、自分をからかっている。そう思ってはみたもののムイにいつもの笑顔はなく、明るい雰囲気に包まれる中で不気味にさえ映った。聖職者としてあるまじき言葉なのではないかと、そんな事を言って大丈夫なのかと、ローザは思った。血迷い事と掃き捨てられず、馬鹿げた問答を始めるつもりかと一蹴もできない。何より、彼女も一度とならず考えていた事柄だったからだ。
この一秒に満たないほどの動揺は、彼に悟られただろうか。ムイは彼にしては言葉が纏まらない様子で、纏める気もなく話し始める。
「神は……、その存在を信じ敬う者達によって、加護の御力を発揮し、私達の世界の頂点に存在しています。大地でも空でも大海原でも、そこに住む人々の思いが、神の御力と関連している訳ですね。という事は、信仰する者が誰もいなくなれば、神は力を失い、我々の領域まで堕ちるでしょう。もしかすると、その時神の死は訪れるのかもしれない。神がいなくなった時、神の法則の前提の元に動くこの世界がどうなるのか……誰にも分かりません。翼晶族の中で一番長く生きている翼晶族さえもです」
何が言いたいのか理解できなかったが、真面目な話をしているのは分かった。ローザは黙って彼の言葉に耳を傾ける。
「天空神が死んだら全ての島が落ちるかもしれないし、大地の女神が死んだら大地は枯れ果てるかもしれません。ひとつの可能性として、逆に全く何も起こらないかもしれないし、浮世の民草では想像のつかないような事が起こるかもしれない……。しかし私には、ここまで世界に深く根づいている、被創造物からの強い共通認識を有する上位存在がですよ、改変されたり、人々から忘れ去られるなど……。そもそも、到底不可能に思えます」
長々と話した後、彼はようやく体を引き、椅子へと腰を下ろした。
静かに首を捻るローザを見るなり、渋い表情できつく目を閉じる。そして片手を頭へ伸ばし、荒い手つきで数度掻いた。
「つまり……、そこをどうにかするのは、恐らくとても困難と言うか、過酷と言うか……、ああ、何言ってんだ。すみません、忘れてください」
「こんばんは。お二方も、戴火祭の見物ですかな」
突然放り込まれたのは、第三者の野太くも優しい声だった。いつの間にか、テーブルの上に大きな影が落ちている。体格の良い、長身の男。初老の顔に柔らかい皺が寄れば、整えられた白髪混じりの口髭が持ち上がる。ローザは全く気づかなかったし、驚いた顔を隠さない辺りムイも同じだったのだろう。今日は鎧を着ておらずごく普通の格好だが、間違いない。一般人の変装をしていても、見る者がよく見れば分かる。
ローザは視線を相手の顔辺りまで上げたところで、完全に面食らってしまい腰を浮かす。そして殆ど無意識に、言葉が口から飛び出した。
「副騎士団長殿……!」
ついうっかり、大きめの声を出してしまった。風晶騎士団副騎士団長、もといギルベルト・フォン・ヨーフ・シュヴァルツァーは、人差し指を口元に当てて片目を閉じてみせる。
どうやら御忍びというやつらしい。護衛の姿が見えないのは、何処かに隠れているせいだろうか。
もっとも、彼は単体でも充分強い。老騎士シュヴァルツァーの名を知る者の間では、ほぼ自明の理とされるところだが。
「ああ、どうかお座りくだされ。席を探していたら、見知った顔を見つけたもので、声をかけさせて貰った次第。お邪魔でなければ、相席宜しいですかな」
「勿論です」
ムイがすぐに言葉を返さなかったので、ローザが代わりに返事をする。
「そう緊張なさらず。ムイさんとローザさん、お二方とは一度、こうして話をしてみたかったのですよ。私がここへ来た事も、この件も、どうか内密に。その代わりにと言っては何ですが、別のをもう一本どうです」
「え、そういう訳には……」
「いやー参ったなあ! こんな事までして頂いては、真面目に仕事しないといけなくなるじゃないですか。ね、ローザさん」
「え?」
ムイは突然、ローザの言葉を遮った。
ようやくいつもの軽い調子を取り戻したらしい。よく分からない奴だ。
「はっはっは、おかしな御仁だ」
ギルベルトは豪快に笑いながら一礼した後、ムイに勧められた席に腰かけた。後頭部で一本に縛られた、長い黒髪の尻尾が揺れる。その時近くを通った給仕係に声をかけ、とある酒一瓶の追加と自分の分のグラスを頼む。高そうな名前だった事しか、酒に疎いローザには分からなかった。そしてまずは定番をという事で、腸詰めと金南瓜のスープも注文した。ローザもおかわりか追加注文をどうかと勧められたので、有り難くスープの二杯目を頂いておく。広場の籠へ火が入るまでは、まだ時間がある。
他愛のない談笑を始める二人の様子を眺めつつ、黄金色の残りをスプーンで掬って口に入れる。耐熱容器に入ったそれはまだ温かく、ほんのり甘く、南瓜の心地良い食感が舌の上に残って溶ける。じわりと身体の中心から外側へと沁みて行く。ムイの言葉は、彼の言う通り一時忘れようと彼女は思う。予想外の事だった。普段彼自身周辺などの面倒な話に触れられた時するように、はぐらかされたりしなかったのだから。
ローザの可笑しな言葉へ真面目に向き合ってくれた事が、たとえそれが酒の力だったとしても、祭の雰囲気に影響され出てきた言葉だったとしても、仲間として彼女は少し嬉しかった。出会った頃は考えられなかった心境の変化だ。そして突然のギルベルトの登場は、長い夜になる事をローザに予感させた。経験豊富そうなこの副騎士団長からも、何か興味深い話が聞けそうだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます