第3話「迷子の神様」
私はさしてすることもないので、自分に与えられた部屋へと戻ることにした。
けど……、何処が自分の部屋なのか分からなくなってしまった。
ああ、どうしよう。迷子になってしまった。
さっき、アスナに言われたばかりだっていうのに……。
アレックス「……お前、何してるの?」
頭を抱えて悩んでいると、背後から声をかけられた。
そこにはロイス王の従者、アレックスくんが不思議そうな顔でこちらをみていた。
ひかり「……あの、自分の部屋が分からなくて」
アレックス「……あ、そう」
ひかり「あ、そうじゃなくて、私の部屋、どこか教えてくれない?」
アレックス「……なんで、ボクがそんなことするの?」
ロイスさんの前じゃあんなに素直で従順なくせに、ロイスさんがいなくなったらこんな性格なのか……。
ひかり「じゃ、じゃあ、甲板に戻る道を教えてくれない?」
アレックス「……自分で探しなよ。ボク忙しいから」
ひかり「なんでよ。どうして、そんな意地悪言うの?」
アレックス「別に意地悪じゃないし。じゃあね」
そういうと、アレックスくんは一瞥もくれずに、歩いていく。
私は船内で一人になるのが怖くて、アレックスくんの後を追った。
アレックス「……あのさ、ついてこないでくれる?」
ひかり「だって……、他に人がいないから」
アレックス「そうだろうね。アルニカ島に降りてるから」
ひかり「じゃ……、じゃあ、今、頼れるのはアレックスくんしかいないじゃない!」
アレックス「……そうだね。でも、ボクは頼られたくない」
ひかり「そんなこと言わないで、私、神様なんでしょ?」
アレックス「神様ならそのくらい自分でやってよ」
結局、アスナが見つけてくれるまで、私はアレックスくんの後ろをうろうろしていたのだった。
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