第7話「ホーキンズの復讐」

レイナは思い出したように、ランプを丁寧にアラジンに差し出した。

「そうそう、このランプはあなたのものだったわね。お返しするわ」

少しだけ笑って、レイナは続ける。

「このランプがあれば、王様だって、大金持ちにだってなれるわよ?」

しかし、アラジンの返答はレイナの斜め上をいっていた。

彼はランプを受け取らず、こう言った。

「いらないっす。こんなランプなんかより、大切なものを手に入れたから、このランプは俺には必要ないっす!」

「大切なものって・・・」

すごくすごく嬉しそうにアラジンは答えた。

「ひめちゃんっす!」

人魚姫のことをひめちゃんと呼び、アラジンは彼女の手を取った。

そして、いままでの子供っぽい表情から大人のような顔で言った。

「ひめちゃん。俺は今、無一文っす。それでも、側にいてくれるっすか?」

それは世界で一番純粋なプロポーズに見えた。

人魚姫も顔をほころばせながら、嬉しそうに頷いた。

「ええ。喜んで。アラジン様のお側にいられるなら、どんな辛苦も飲み込みましょう」

なんだか、こっちまで心があったかくなるような、そんなプロポーズだった。

しかし、そんな甘い雰囲気をぶち壊す不埒な輩が宿屋のドアを乱暴に破った。

「このままで、ジム・ホーキンズがめげると思っていたか!」

ジムは怒りの表情のまま言葉を続ける。

「人魚姫とアラジンの結婚だと!この俺様が盛大に祝福してやろうじゃねーか!」

ジムの船から連れてきたのか、大量のヴィランが宿屋になだれ込んできた。

「さあ、野郎ども!奪って壊して、俺に破れないという『愛』の力とやらをぶっ壊してやろうぜ!」

大きなテーブルの上で片手剣を掲げて開戦の合図をおくるカオス・ジム。

シェインがボソリと

「身長が低いこと、気になってるんですか?小さいものほど、力を振りかざすといいますからね」

と、火に油を注ぎまくっていた。

そんなシェインの横で、人魚姫が杖をとり、にこりと微笑んだ。

「微力ながら私も手伝わせていただけますか?」

「ええ!?人魚姫戦えるの!?」

僕は驚いて思わず『導きの栞』を取り落としそうになった。

そんな様子を見ていたアラジンも剣を構えて、戦闘準備万端になっている。

「俺も手伝うっす!女の子ばっかりに守られるなんて、男じゃないっす!」

レイナが怒りの表情でカオス・ジムを睨みつける。

「幸せな幻くらい見せてくれたっていいじゃない!いい加減にしなさいよ!」


【ゲストキャラクター:人魚姫&アラジン】

【戦闘:カオスジム】


こうして、僕たちはカオス・ジム達を退けたのだったが、問題は・・・。

そう。問題はこの『想区』の『主役』が不在であり、その『主役』がアラジンに割り当てられてしまっていること。

そして、何故か人魚姫やらカオス・ジムがいること。

多分、カオス・ジムによってこの『想区』は混乱してしまっているのだ。

しかし、前科のあるシルバーも怪しい事この上ない。

かと言って、アラジンや人魚姫でない証拠もない。

とにかく、片っ端からレイナの力で『カオステラー』を探すしかない。

この楽しい夢は『カオステラー』の見せる甘い甘い幻なのだ。


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