第五章 「慕情」
どこかふたりきりで行きたいところはある?
ある時、僕は彼女にこう尋ねた。
そうしたら君はこう答えた。
行きたいところはもう十分行ったわ。
これからは時間が許される限り、あなたの側にこうしていたい。
でも、私はまだまだ元気でやっていけるもの。だから、あなたに依存して生きながらえるのだけは嫌なの。
勿論ひとりぼっちは嫌だけど、かといってあなたに寄り掛かって大切な時間を無為に過ごしたくはないわ。
でもね・・・どうしても気弱な時はあなたに寄り添っていてほしいなぁ。わがままな私をどうかゆるしてね。
ああ強いなぁ、本当に強いなぁ君は。男の僕よりもずっとずっと心が強くたくましい。もしも僕が逆の立場ならば、きっと泣きわめいて君にしがみついていることだろう。
君の望んだ様に、僕はもっともっとしっかりして、まわりから支えなくてはいけないね。
仕事もふたりで過ごす時間の支障にならない程度に抑えられる様に、僕は上司に相談することにした。
どこかに行きたいかなど、実に愚問だった。
これからの時間をどう大切に過ごすか、それが僕たちにとっていちばん重要なことだったんだ。
強くなる、きっと僕も強くたくましくなるよ。
君が不安に襲われた時には、必ず隣にいて寄り添え支えられるように。
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