第6話 彼氏ということ
お似合いカップル
理想のカップル
優しい彼氏
素敵な彼女
--------------------------------------
“麻衣ちゃんみたいな子が理想の彼女”
“駿斗には勿体ないくらいの彼女”
“理想の仲良しカップル”
周りからの評判は良い
いや、良すぎる…
「なぁ、どっかで飯食って行こうぜ」
大学のフットサルサークルの練習終わり、
チームメイトからの誘い。
「あぁ、ごめん。この後麻衣とデート!」
「うわぁ、相変わらず仲良しカップル!!」
「いいな~、俺も麻衣ちゃんみたいな可愛い子と付き合いたい!」
麻衣は何度か試合の応援に来た事があるから、
チームメイトも皆、麻衣を知っている。
「ダメダメ、麻衣は俺のだから!」
「なんで駿斗なんだよ~」
「確かに、麻衣ちゃんならもっとイケメンと付き合えるでしょ!」
「うるせぇ!麻衣は外見じゃなくて俺の内面に惚れてるの」
「うわぁ、自分で言ったよ…」
「ああぁもう!うるさい!じゃ俺帰るから!」
皆は知らない
麻衣の本命の“あの人”のことを。
彼氏なんかじゃなくて
俺は“あの人”の代わりなだけってことを
皆は知らないんだ。
高校の時、麻衣が転校してきた。
俺の一目惚れ
あんなに可愛い子今まで見た事ない
色々考えるより先に俺は麻衣に話しかけに行った。
沢山質問して、沢山は話して、沢山一緒に居た
ずっと一緒に居たからきっと麻衣は俺の気持ちには気付いてるはず。
それでも一緒に居てくれるってことは、
少しは麻衣も俺を好きでいてくれるのかな…
この時はまだ、自惚れてたし希望に満ち溢れていた。
“ごめん、好きな人いるから”
この一言で俺は失恋したのに、諦めたくなかった。
“はるは王子様だから”
麻衣は、その王子様をずっと一途に想い続けてる。
それでも良い
それでも良いから麻衣の傍に居させてよ
【
まさにその通り。
振られたのに諦めきれなくて
どうしても麻衣の傍に居たくて
今は他に好きな奴が居てもいい
そいつとは会えないし
両想いかも曖昧だし
だから、
いつか俺を好きにさせてみせるから。
あれからずっと俺は頑張ってる
麻衣に好きになってもらう為に…
4年も頑張ってきたんだ
それなのになんで今更“王子様”が邪魔すんだよ
麻衣がずっと好きな相手はまさかの女の人だった
でも分かる
あれは“王子様”だ。
どこか寂しそうな表情はきっと憂いを帯びた瞳のせいだ
色白で綺麗な肌
傷んでいない黒髪のショートカット
スラッとしてるけど筋肉もしっかり付いた身体
王子様
きっとドラマならこの人が主人公で麻衣がヒロインだ
それくらい2人はお似合いで絵になる
俺なんて脇役もいいとこ。
通行人かもしれない
あぁ…
なんで
なんで今更、出てくんの?
俺から麻衣を奪いに来たの?
王子様がお姫様を助けに来たの?
…俺、悪者じゃん
はるって人が女の人でも
あんなに綺麗で格好良かったら
俺勝ち目ないじゃん
振られるの嫌だな
やばい、泣きそう
“今は駿斗と付き合ってるから”
…うん
えっ? 麻衣、今なんて言った?
その後も麻衣はずっと「駿斗と別れる気はないから」
そう言ってくれる。
そう言い終わった後に
いつも君がどこか寂しそうな表情をしている事は
ずっとずっと気付かなかったことにしておく
麻衣が選んだのは、俺だ
王子様じゃない
俺なんだ
やっぱりまだ諦めきれない
麻衣は誰にも渡さない
麻衣が誰か他の奴を好きになっても
俺は絶対にこの恋を諦めないから。
君の本心がどこか違う場所にあろうとも
君の傍に居られるなら
君の嘘を俺はずっと信じ続けるから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます