第10話 メガネ

寝起きに枕元をあさって、手に取るメガネ。

君が踏んで折ってしまったものをガムテープでくっつけた。

みすぼらしい格好だった。

夏の暑い日に、南向きのカーテン越しにキラキラと光が差し込んで、そこにあるメガネ。

僕と同じ、壊れてるけれど、なんとか繋ぎ合わせて、使ってる。動いてる。


壊した君は居なくなる。

僕の前から忽然と、そして、僕とメガネは茫然として、そこにあった。


僕はメガネを見た。

散々だったね、ごめんねと言った。

メガネは何も言わずに、そこにただただ佇んでいる。

僕も同じさ。

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