第9話 ダンス
結局、生きるということは、踊るということ似ている。
綺麗なステップもあれば、ぎこちないステップもある。
他人からの干渉もダンスには必要だ。
「君、もっとこう軽やかに」
「そこはずっと丁寧に」
「そこはもっと大胆に深くね」
言われた通りにやってみるけど、なかなか上手くいかなくて、落胆と内省を繰り返す。
それでもステップは踏み続けなければならないのだ。ぎこちなく、ギクシャクと動きながら。
「そうするとだんだんとコツを掴んでくるんだ」
誰かが言った。そうなのかと思った。
そうして、踊り続けた僕の何十年の時間に一体どれほどの評価がくだされるのかな。
体は軋み、もう肩も上がらない。
隣で優雅に踊る彼らはとても上品で誠実で、きちっとしていた。僕は嫉妬し、横目で見て、腹の底から嫌なものが上がって来るのを感じながら、それでも僕は踊る。
踊るんだ。そうでなくては、生きている限りに。
優麗なサウンドが響き渡る中、僕は前にいたパートナーを失ってすら、それでもぎこちないダンスを踊り続ける。
何も考えずに、ただひたすらに、愚直だった。
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