ボールゲッター
「モデルケース(ヒト)の確保が一定数に達しましたよ」
「我々がこのゲームを配信した真の目的を果たすことができることを光栄に思うわ」
「心身ともに異次元地帯に送り込まれた彼らはどうなるんでしょう」
「心配しなくていいわ。彼ら彼女らは人道的には非業の処置を受けるかもしれないけど、それは私たちには何ら、責任を問われるものではないし、人類の今後の発展のためにもためになるものよ」
「にしても、世界住民はこのゲームに夢中ですね。まさかここまでの人気を博すとはいい意味で予想外でしたわ」
「にしてもいい体してるわね。そろそれいいかしら」
「はい」
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異次元空間に放たれたモデルケースはこの世界の物理法則と一辺にして相違ない、感覚的にもすべてにおいて、現実といえる世界での生活が続いていた。
モデルケースAはニートとして、ゲームを続けていたし。
モデルケースBは派遣会社の派遣として、打って変らずの日常である。
そのほかにも、上記の人物を含めて、30人ほどのモデルケースが異次元世界でモデルケースとして生きていくことになった。
その中で、有用な人材と不要な人材を選別していくことになる。これは実験における技術的な問題で、人数制限がかかるからであり、少人数しか今回のところ、試行することができないからである。
モデルケース当事者はそのことを知らない。なにせ、まったく、体感的に世界が変わっていないのだから。
しかし、これから徐々に世界にわたしが変化を催すことになる。言わばこの世界をコントロールできる。異次元世界で私は操作を一任できるのだ。
神のようにふるまえることは私自身の夢だった。この異次元を作り出し、モデルケースを送り込むというシステムを開発したときはもうそれは涙物だったわ。
実際、大手ゲームメーカーとの連携によってここまでたどりつき、表向きには人気ゲームの地位を築き、裏では私たちの企図が進んでいた。
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翌日、社内は緊張感に包まれていた。
モデルケースとされるモルモットたちに、現実出ないということを初めて知らしめる初期行動である。
「たのしみですわね」
「それ本当にこのためにやってきたんですから」
「この国の法律に異次元に人を送り込んだからと言って罰せる法律はないし、むしろ良いこと人類の発展のためにも」
「きっと、ライト兄弟も初飛行の時はこのような心境だったのでしょうね」
「そうですね。私たちはいま歴史を紡いでいるのよ。議事録にして保存しておいたら、きっと国営放送がドキュメンタリィで今の状況を再現するわよ」
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異次元はこの世界とそん色ないが、物理的にすべてを操ることが可能である。リアルにその影響は浸食しないため、被害もない。異次元にいるモデルケースは別だけど。
ボールでモンスターを捕まえるゲームが流行った世界で実際的にモンスターが限定条件下でリアル出没しました @maguron
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