第20話その心は…?①~⑨
ーその心は…?①ー
わいわい、ガヤガヤ。ガチャガチャ、どんちゃか、ドンチャカ。
ハッ!いったい何が?家に帰ってきてたくみさんがみんなに担がれてそれで食堂に連れて行かれて、そのあとお母さんが何か言ってたような気がするんだけどそこから記憶がない。
「み、皆チョッと……」
「あすかはどうなのたくちゃんの気持ち知りたくないの?」
は?脳内回路がフリーズ。ショート。ウイルスだ。
ウイルスバスターをインストールしないとヤバイよ!
「お母さん、なに言ってるのたくみさんの気持ちって」
「いい加減素直になりなさいよじれったい」
娘の色恋にここまでずけずけ入ってくる親がいるだろうか、普通は陰ながら応援、とかだと思うけど。
「あすか、兄ちゃんはなにも心配してないぞ」
「私もお姉ちゃんがその…リ、リア充になっても変わらず好きですから」
お兄ちゃん、ゆめまでなんで応援ムードだしてんの?
「二人ともわたしは別に…」
でも…確かに知りたい。たくみさんがわたしの事どう思ってるのか、もういい加減ハッキリしても良いのかも。
たくみさんの……キモチ…
ーその心は…?②ー
「お前らいい加減にしろ、本気で怒るぞ」
コイツら人の気も知らないで、あすかの気持ちだって…
「たくみさん。」
「あすか」
真剣な眼差しでバカ騒ぎをしているつかさやいつき達の声を欠き消す凛とした声でオレの名前を呼ぶ。
「知りたいです。私も、たくみさんの…たくみさんがわたしの事どう想ってるのか」
完全に捕らえられた、真剣な目。オレの言葉を気持ちを待っている。
「あすか…ずっと産まれたときから面倒見てきたから妹ととかか下手すりゃ娘みたいなそんな感覚でいた」
「確かにたくみさんの方が年上です。でもたかが5~60才じゃないですか。それとも格ですか?わたしの方が鬼として格上だからですか」
そっか…あすかはそんな風に思ってたのか。ならオレも真剣に答えてやらんとな。
「あすかがそんな風に思ってたなんて知らなかった。
だからオレもホントの事を話す」
ーその心は…?③ー
「オレもホントの事を話す」
ホントの事?ホントの気持ちじゃなくて?
「ホントの事って言うのは…?」
「まず1つ、あすかはオレの年を勘違いしてる。オレは確かにレンさんよりは年下だ」
ギラン!!
ヤバ、口が滑った。つかさを牽制してたレンさんが睨んでるし。
「オレはあすかより200才上なんだよ。それと格の話だが……オレは、オレと青は
ーその心は…?④ー
役行者。修験道の開祖で数多くの伝説を残し、2体の鬼神をその力で使役してきたと云われている。
その2体の鬼の名が赤鬼を前鬼、青鬼を後鬼と言う。
一説には二人の鬼は夫婦であったと言われていたが…
「役行者の前鬼、後鬼って云えば超有名じゃないですか、でもじゃあゼンキちゃんとゴキちゃんは?」
「あいつらは小角様が建てた所の狛犬で俺たち二人の力が封印されてる」
確かにゼンキちゃんとゴキちゃんの首輪に宝玉みたいなのがついててだから勝手にそれが名前だとばっかり思ってて…
「あとあんまし関係ないけど絵本の『泣いた赤鬼』のモデルも俺たちだ」
なんと!あの有名な泣いた赤鬼。
鬼が出てくる作品だから大好きで、発売されたときにお母さんがすぐ買ってきてくれてずっと読んでたっけ。
「た、たくみさんてすごい
「有名なんかじゃねぇよそれに有名人ならいつきの方がそうだろ?なんたって現役アイドルなんだから」
わたしは子供の頃大好きな絵本を大好きな人に、まさかそのモデルの人に読んでもらっていたなんて。
ーその心は…?⑤ー
「そう言うことだ。あすかわかってくれたか?」
「はい、何だかたくみさんが遠い人に感じてきました」
ヨシ!なんやかんやで話をそらすことは成功したな。
「たくみさんの事は色々わかりました。それでたくみさんのわたしへの気持ちは?」
SHIT!恋する少女は盲目的だな、しっかりロックオンしてるから全く逃げれない。
「その…だな、あすかそれは…」
「それは?」
ヤバイよヤバイよ雪崩式に自分の
〈レンさん〉「アカちゃん」〈もとのぶ〉「たく兄」〈ゆうみ〉「たぐみさん」〈志木先生〉「あか坊」
〈つかさ〉「たっちゃん」〈大家さん〉「赤井くん」〈ゆめ〉「アカ兄」〈千樹先生〉「赤井せんせ」
〈ゼンキ〉「ワン」〈ゴキ〉「ワン」
四面楚歌じゃねーかー━ー━ー━?!
ーその心は…?⑥━
ん?んー━ー━ー━?
何だか違和感を感じるぞ。うちのアパートにすんでる住人はオレを含めて8人。大家さんをいれても9人のはず。
「突然だけど点呼とります」
「いち」
「に」
「さん」
「よん」
「ご」
「ろく」
「なな」
「はち」
「きゅう」
「じゅう」
「じゅういち」
「わん」
「ワン」
みんなノリ良いな。ワンワンってお前らも参加すんのかよ。
「いつき、もとのぶそこをドケ」
デカい二人の影に隠れてコソコソと。
「デカい二人の影に隠れたってもうダメですよ。アケハさん、レンゲさん」
「見つかってしまいましたか」
「バレたか」
バレないと思ったんかい。
ーその心は…?⑦ー
「なんで二人ともいるんです?」
二人ともウチの住人ではないがしょっちゅう遊びに来る。
「わたしはあすかさんが部活中に怪我をしたと聞いたので」
「つかさから面白いことになってると聞いて見に来た」
レンゲさんは部活動統括顧問だからまあヨシ、アケハさんはただの野次馬、出歯亀かよ。
「どこから見てたんです」
神と仏がこんなことして良いのか?
「「 気持ちを知りたいってところから 」」
かなり最初っから居たんじゃん。
ーその心は…?⑧ー
あすかへの気持ちを語るにはここは雑音が多すぎる。
「そのだな、あすかお前の気持ちは確かに嬉しい」
「ホントですか!」
うわめちゃめちゃ喜びと期待の眼差しどうすっかな~。こんな時位助けてくれよの気持ちで青に視線を送ってみる。お、気付いたくれた。
サラサラサラ~。
『ファイト(笑)』
フリップで答えんなや。
ーその心は…?⑨ー
「あすか、どうしてオレなんだ?兄貴や父親として見られるならまだしも恋慕の情を向けられるってのはどうにも思い当たる節もないし」
「そんなのわかんないです。気づいたら好きでしたじゃダメですか?」
リアクションに困る回答第一位、いただきました。
「とか困ることは言いません」
え?
「正直、小さい時から好きだったのは変わりません。確かにお兄ちゃんやお父さんとして好きって気持ちが最初です。でも本気でたくみさん自身の事が好きになったのは無理矢理結婚されそうになった時と、あの時です」
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