帰り鬼

第14話帰宅①~②

ー帰宅①ー


部活は無理そうなので練習もそこそこにオレの独断で今日は切り上げて貰うことにした。


「すまんが今日の練習はここまでだ」


「みんなごめんねわたしが怪我したばっかりに」


練習試合も近いのもあってあすかは本当に申し訳なく、みんなに謝っていた。


「早くケガ治ると良いですね」


「無理するなよあすか」


みな口々にあすかの心配をしてくれている。

アパートでは見ることの出来ないあすかの違う一面が見れてちょっと新鮮な気分だな。


「みんなホントごめんね。なるべく早く戻ってくるから」


「それじゃオレも帰るからみんな寄り道とかするなよ」


「はーい」


返事だけの返事をしてるなコイツらは( ´△`)


「真っ直ぐ帰らんと鬼が出るぞ」


「先生なんかおじいちゃんみた~い(笑)」


部員の女子達から笑が起こる。少し前なら素直に効いたんだけど今はつまらん冗談扱い、ホントの姿を晒してやろうかと思うが。


「ちょっと前ならみんな怖がってたんだよな」


「30年位前じゃないですか?」


隣のあすかが小声で返してくる。


「30年かまだまだイケるだろ」


「たぶんそれ人間の一発屋芸人の考えと似てる気がしますよたくみさん」


「やれやれアッと驚くため五郎だぜ」


「それホントに古いやつ」


〈たくみ〉Σ(゜Д゜)


あすかに冷静にツッコまれた。



ー帰宅②ー


「あすかケガしたんだって大丈夫なの」


弓道場も近くなので彼女の耳にもあすかのケガの事はすぐ届いたのだろう、草加部さんが袴姿で玄関口にやって来た。


「みつき。大丈夫、大丈夫チョッと足首捻っただけだから。保健室行って手当てもしてもらったから」


あすかがケガ。それだけで驚きだったのだろう、本人を見て安心したのだろう。


「全くドジなんだから練習試合出れないんじゃないの?」


「それは問題ないよ!気合いで治すから」


気合いで治るなら医者はいらんだろう。ま、気合いじゃなくても2~3日もすれば治るんだがな。


「じゃあ先生車廻してくるから、草加部、酒井の事チョッと見ててくれるか」


「了解しました先生」


持つべきものは友だな。


「ところで先生?車ってカボチャの馬車ですか?それとも白馬?」


草加部がニヤニヤしながら聞いてくる。


「馬も車両扱いになるが普通のワゴン車です」





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