第15話鬼ママ

白馬でも馬車でもない普通のワゴン車であすかと二人。特に話すこともないので車内は無言カーステレオから流れてくる音だけが唯一の救い……をぶち破って間の抜けたLINEの着信音。


「お母さんからだ」


ビクッ!!無意識にハンドルを握る手に力がはいる。


「なんだろう?」


「どうした」


あまり良い予感はしないが聞かなければいけない気がする。


「ん~なんか文章になってないんですよ。ほら」


信号で止まっているタイミングで画面を見せてもらった。


〈ママ〉『阿須加汚したって本戸なの』


レンさんテンパりすぎてちょっとの変換間違いどころじゃない。


ピンポン🎵


オレの携帯にもLINEの着信。


「あすか誰からか見てくれ」


「あ、はい」


どうせ青あたりだろう。


「お母さんからです」


ガツン‼驚きすぎてハンドルに頭突きしてしまった。


「れ、レンさん何だって?」


「えっと~こんな感じですね」


〈レンさん〉『赤ちゃんあすか汚したのホント?』


誤解をまねくピンポイントな間違えかたを。


「あ!」


まだなにかあるのか、嫌な予感は続くもので。


「たくみさんこれおにがみ荘のグループLINEです‼」


ピンポン🎵ピンポン🎵ピンポン🎵ピンポン🎵ピンポン🎵ピンポン🎵ピンポン🎵ピンポン🎵

ピンポン🎵ピンポン🎵…………🎵…………🎵


アパートに着くまで鳴り止むことはなかった。


「たくみさんなんかすいません」


「どういたしまして(TT)」

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