雄大編
第14話 ゲーマーと残りポイント
ゲーマーと残りポイントの奇妙な話。
※
[残り357ポイントです。]
「えっと…………俺、ニート生活で1年無駄にしちゃって金もまだないけど…………よ、良かったら結婚
を前提に付き合ってください!」
「え…………結婚を前提に、ですか?」
「俺、今は一応就職してるし…………収入もまだ少ないけど…………ダメ、かな?」
「結婚前提じゃないなら…………」
「え?」
「い、今すぐ結婚しちゃいましょう!」
「は、はい!」
ということで俺、雄大は結婚することになった。
[残り319ポイントです。]
「結婚おめでとう! 雄大! まさかお前の結婚式でもう一回みんなで集まることになるとはな!」
「ほんとビックリです。私達が先に結婚するって言われてたのに…………。抜かされちゃいましたね、健二さん」
「まあまあ、二人とも。雄大! 結婚おめでとう! ちゃんとお前が企画するって約束を守ったわけだ(笑)」
「みんな! ありがとう! でも一番ビックリしてるのは俺だって(笑) ニートだった俺が一番先に結婚するとは…………」
[残り284ポイントです。]
「あなた! いってらっしゃい!」
「あれ? 今日はいってきますのチューはしてくれないの?」
「もう、あなたったら…………」
チュッ
「よし! やっぱこれがないとな! いってきます!」
「はーい、いってらっしゃい!」
[残り221ポイントです。]
「ねえ、あなた。私、子供がほしいわ。一人でもいいから大事に育てたい…………」
「そうだなー。でも俺達ならすぐに子供なんかできるって!」
[残り176ポイントです。]
「おかえりなさい! あなた! 今日産婦人科に行ったら私…………妊娠してるって!」
「本当か!? やった! でかしたぞ!! ついに俺達もパパとママだ!!」
[残り128ポイントです。]
「今日は定期検診に行ってきたのよ。順調に育ってるって」
「おっ! 良かったじゃないか! そろそろ性別もわかるんじゃないのか?」
「今聞いちゃったらつまらないじゃない。私は生まれてきて自分の目で確認したいわ」
「そうだな、確かに今聞いたらつまらないかもしれないな」
[残り100ポイントです。100ポイント以下になりますとポイントとして変換された部位の1ポイント分を1プレイごとに支払って頂きます。]
[残り87ポイントです。]
「大丈夫? なんか顔色悪いみたいだけど…………」
「ああ…………大丈夫だよ。心配するな…………いってきます」
「そう…………いってらっしゃい…………」
[残り44ポイントです。]
「あなた! あなた! どうしたの!? うそ………… は、早く救急車を呼ばないと!」
[残り29ポイントです。]
「大丈夫? どこか苦しいところはない?」
「ああ、今は落ち着いてるよ…………それにしても、まさか心臓を悪くするなんて…………」
[残り13ポイントです。]
「ああ、どうか…………どうか、この子が生まれてくるまでは…………」
[残り1ポイントです。]
ああ、どうしてこんなことになってしまったんだ…………たぶん俺はもう長くない…………原因不明の心臓の病だなんて…………
俺は病院のベットの上でパソコンを開く
「こんなことになってもこのゲームだけはやめられないな…………」
数年前に始めたこのゲームもついにラスボスのところまで進んでいた。アイツは俺がゲームしてるのを知ったら体に悪いからってやめさせるだろうな。…………せっかく俺の奥さんになってくれたのに…………俺は自分の子供を一目見るまで生きてられるだろうか? アイツには俺が死んでも悲しまないで新しい人生を歩んでほしいが…………
「そろそろこのゲームをクリアしてやろう」
ゲーマー雄大の最後のプレイになるかもな。ラスボスだろうが関係ない! 俺も強くなってる!
「よし! いっちょ雄大様が華麗に倒して………… …………」
――――――――――死んだ
画面にはゲームオーバーの文字
――――――――――次はもっとレベルアップしてから…………
[残りポイントが0ポイントとなりました。引き続きゲームをプレイしますか?]
「あなた! あなた! ねえ…………目を、覚ましてよ…………」
[すぐに支払を行う方は1ポイント分の体の部位を選択してください。例 足の小指・髪の毛2万本 1ポイント以上の部位を選択されますと残りのポイントの数だけプレイできます。支払は100ポイント以下の部位ですと前払いとなりますのでその体の部位はすぐにあなたの体から消えます。ただしプレイヤーの皆様はそのことを忘れてしまいますのでポイントは慎重にご利用ください。]
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