第13話 変人夫妻とその子供 (さやか目線)
変人夫妻とその子供の奇妙な話
※
「結婚して2年でやっと俺達にも子供ができたな」
「そうね。とっても嬉しい…………あっ今動いた!」
やっと私たちにも念願の子供ができた。
「おお! 俺みたいに元気がいい。俺に似た元気のいい子が生まれるといいな(笑)」
「あなたくらい元気だったら少し困っちゃいます(笑)」
健二さんに似ても嬉しいけど
「アハハ、そう言うなって! 検診の結果じゃ女の子なんだろ?」
「ええ、ちゃんと私みたいに女の子らしく育ってくれればいいけど…………」
私に似た女の子に育て上げるわ
「俺の子供でもあるから大丈夫!」
「あなたの子供でもあるから心配なんです!」
なんたってせっかくの女の子なんですから
「ひどいな~俺の嫁は(笑)でも結婚してもう2年なのか…………早いもんだな」
「結婚式のことは一生の思い出です」
そう、あの日私はずっとなりたかった花嫁になったの
「結婚式か…………あそこに雄大がいれば完璧だったんだけどな…………」
「まさか雄大さんがこんなに早く亡くなると思ってもいませんでしたからね…………心臓の病気だなんて…………」
雄大さん…………
「おっと! すまんすまん! 俺ともあろう者がくらい雰囲気にしてしまった!」
「いいんですよ(笑)雄大さんは私の友達でもあるんですから」
そういえば雄大さんの奥さんはどうなったのかしら?
「そうだな…………本当にこの子は元気に生まれてきてくれれば他には何もいらないよ」
「そうですね。でも私はせっかく女の子なんだからお料理や編み物なんかも教えてあげたいわ」
あとは包丁の研ぎ方
「…………まあ確かに女の子で俺に似たらまずいな(笑)」
「まったくです。この子にいろいろ教えてお花みたいな女の子に育てるんですから」
おまじないのかけ方も教えないと
「お前がいろいろを教えるのか…………きっとすぐ上達するな! 特にお前の料理は絶品だ!」
「誉めても何もでませんよ(笑) でも料理には確かに気をつかってます」
健二さんはこんな風に誉めてくれるけど、意外と小食なの。なにかつまみ食いでもしてるのかしら?
「ああ、お前には感謝してるよ。…………だから引っ越してもいいんだぞ」
「またその話ですか? 前にも私は気にしてないって言ったじゃないですか」
気にするわけないじゃない
「いや、でも気持ち悪いだろ? 死体が見つかった家なんて…………」
「私は大丈夫です。 せっかくお母様とも仲良くなったのに」
おまじないはとけちゃったけど…………この家の方が縁起がいいわ
「それならいいんだが…………」
「ええ。 そんなことよりこの子の名前をそろそろ決めないと」
かわいい名前をつけたいな
「そうだな~ なかなかいい名前が思いつかないんだ…………画数や血液型、生年月日でもその子に合った名前が変わるらしくて…………」
「健二さんは名前の時だけおまじないを信じて(笑) 心をこめて付けてあげればいいんです」
健二さんったら、そんなおまじないを信じて…………おまじないは自分で作るものよ
「それはそうなんだけどさ~」
「私は自分で考えたおまじないを心をこめて行ったら願いが叶いましたよ。あっ! また動いた!」
心をこめて、心をこめて、おまじないをかければ願いは叶う
「おお! 俺にもさわらせてくれ!」
「いいですよ(笑)」
お腹の中でこの子は何を考えているのかしら
「…………」
「…………」
…………
「おっ! 今動いたな! 本当に元気がいい!」
「ええ、早く元気に生まれてきてほしいですね」
あと少しで会えるよ、ママ
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