第9話 変人達と同窓会
今回は会話文が主なので名前を「」の前につけています。
※
どうやら変人達が同窓会を開くようです。
一也 (豚と女)
久しぶりの休みだ。みんなと会うのは久しぶりだな。施設の子供達は寂しがるかな…………。
ってそんなことないか(笑) そろそろ出発しないと。
健二 (蝉と少年)
美味い! やっぱ蝉はミンミンゼミだよな!
おっとあんま食ったら今日の集まりで食えなくなるな。よし、そろそろ出るか!
さやか (包丁と女子高生)
あら、そろそろいく時間だわ。忘れ物はないかしら?
お財布、ケータイ、ハンカチ、ティッシュ…………と包丁。うん、大丈夫そうね。
雄大 (ニートとゲーム)
クソッ! また負けた!強すぎだよここのボス! 今日で6回も死んじまったよ……………まあ無料だからいっか。
やべー、もうこんな時間だ。俺から誘っておいて遅刻したら怒られるな。準備しないと。
※
健二「オッス!一也と雄大は久しぶり! ってお前雄大?」
さやか「もう健二さんったら! 5分遅刻ですよ! 皆をまたせて…………」
一也「なー俺も最初は分かんなかったよ(笑) スキンヘッドになってんだもん」
雄大「あれ? 俺って高校の時からこの頭じゃなかったっけ?」
健二「おもしれーなー雄大は(笑) じゃあさっさと居酒屋に入ろうぜ」
※
雄大「じゃあ一応企画した本人として乾杯の音頭をとらせていただきますっ! かんぱーい!」
他三人「かんぱーい!!!」
ゴクッゴクッゴクッ
健二「美味い!! いやー、この4人で飲み会を開けるとはなー 」
一也「ほんとだね。でもさやかちゃんはお酒じゃないんだ」
さやか「ええ、私お酒弱いので……」
健二「そうそう!いつも少しの量で酔っぱらうんだよな(笑)」
雄大「でも、健二とさやかちゃんはよく高校から付き合って上手くいってるよな」
一也「ほんとほんと、俺なんかいつも子供達の世話してるんだよ……」
さやか「一也さんは児童保護施設で働いているんですよね」
健二「高校卒業してすぐ働き始めるからビックリしたよ。お前結構頭良かったから進学すると思ってた」
雄大「卒業するまで俺たちにすら言わないんだもん。水くさいぜまったく」
一也「ごめん、ごめん。なかなか決心できなかったからさ。今はこの施設で働けて良かったと思ってるよ。皆も知ってるんじゃないかな? ”名前のない少女虐待事件”の女の子がいた施設だから。何回かテレビにも出てたでしょ?」
雄大「あー!その施設なんだ。その女の子とは一也は会ったのか?」
一也「いや、もう俺が働き始めた時はいなくなってた。先輩の話じゃ猫みたいだったって」
さやか「あら、可愛いじゃないですか」
一也「違う違う。なんか本当の猫みたいなんだって。施設内でネズミをとって食べようとしたりとか。うちの施設はネズミとか ゴキブリは結構でるから」
健二「その女の子本当に自分のこと猫だと思ってたりしてな! でも子供の世話は大変そうだなー」
一也「確かに生意気な子供もいるけど皆可愛いよ。でも1年くらい前かな。俺になついてた子供が突然いなくなっちゃったんだ…………」
雄大「生意気って……まさかお前がその子を殺したりなんて……な(笑)」
一也「そんなわけないだろ(笑) 俺は虫も殺せない……いや、まあゴキブリくらいは殺すけど、優しい一也お兄ちゃんなんだから」
健二「ふーん。でもなんだってそんな大変なことやってんだよ?」
一也「夢があんだよ、そのために金稼ぎたかったんだよね。子供も好きだし」
雄大「へー夢ってなに? ぜひニートの俺に教えてほしいね」
健二「よし、教えろ一也!」
さやか「教えてください」
一也「…………養豚場の経営」
雄大「養豚場!? なんだ以外だなー」
健二「お前豚好きだよな。高校の時豚小屋に女がいるとか変なこと言ってたし。その女に未練でもあんのかよ」
一也「…………」
さやか「いいじゃないですか。素敵な夢です」
雄大「まあ、ニートの俺がいう資格ないな。さやかちゃんは夢とかあんの?」
さやか「私はお嫁さんかな(笑) どう? 女の子らしいでしょう?」
健二「おう! いつでも嫁に来い!!」
一也「ラブラブだな~(笑)さやかちゃんはまだ大学生だよね」
さやか「ええ、花の女子大生です」
雄大「今4年生だから卒業と同時に結婚なんかもありえるな(笑)」
一也「そろそろ準備しておかないとだな、雄大」
さやか「さすがに気が早いですよ(笑) おまじないも最近切れちゃったのでちょっと不安ですし…………」
健二「おまじない? まあ2人ともそんな急かすなって(笑)」
雄大「分かった分かった(笑) でもさ、さやかちゃん。もし健二が浮気したらどうする?」
さやか「えーどうしようかな~。…………じゃあ殺しちゃいます(笑) よく研がれた包丁で」
健二「おーコワっ!浮気なんかしないって!!」
さやか「約束ですよ! か弱い女の子を泣かしたらいけないんですから」
雄大「ハハッ、気をつけろよ健二!お前は今は大学院にいってんだよな? 全く、サッカー一筋だったお前が勉強をしてるとはな~」
健二 「凄いだろ! 蝉の研究してんだ! 最近は海外の蝉なんかとも食べ比べ……いや、研究してんだよ。でもやっぱミンミンゼミが一番うま……研究のしがいがあるかな!」
一也「健二は生物だけはできたからな。他はいつも下から数えた方はやかったけど」
健二「うるせーぞ、一也」
雄大「でも皆かわちゃったなー」
他三人「お前が言うな!!!」
雄大「???ああ、そうだ。今回皆を集めたのはただ会いたかったのもあるんだけど……俺らが高校の時の国語の先生いたじゃん。 さやかちゃんは担任だったんじゃないっけ? その白骨死体が健二ん家でみつかったんだろ? それってどういうこと?」
さやか「…………」
一也「それは俺も気になってた」
健二「その事件な! 俺もビックリしたよ。蝉の幼虫探して穴掘ってたら白いのが見えてさ。で、それが…………」
雄大「お前は何も知らなかったのか?」
健二「知るわけねーじゃん!」
一也「なんだってお前の家に埋めたんだろうな、その犯人」
さやか「健二さんのことが好きだったんですよ」
健二「うえ、俺は変なやつに好かれたもんだな(笑)」
雄大「あの先生は女ったらしぽかったけど悪い先生じゃなかったよなー」
一也「女ったらしって……じゃあ生徒にでも手を出して恨み買ったのかもな(笑)」
雄大「それ、ありえる(笑)」
健二「あの先生のことだから幽霊になって出てきたりしてな(笑)」
さやか「あの人の元カノは大変です。先生と付き合った人は不幸です」
雄大「なんだなんだ(笑) さやかちゃんは良く知ってるような口ぶりだなー」
健二「さやかは担任だったんだから俺達より良く知ってるのは当たり前だろ」
一也「でも一年間通しての担任ではなかったんだよね。突然行方不明になっちゃったから……ほんとビックリだよ…………」
さやか「…………あの、そろそろ帰りません? もうこんな時間ですし」
健二「おお! もうこんな時間たってたのか!!明日は俺も早く大学行かないといけないからな」
雄大「俺も明日は早くゲームしないといけないな」
一也「ゲームかよ(笑) それにお前がやるゲームって有料だろ?」
雄大「いや、それが無料なんだよ! なんかポイントって概念があんだけど……よく分からんから心臓の700ポイント支払ってやった」
健二「心臓って! お前そのポイント使ったら死ぬんじゃね(笑)」
雄大「心臓は後払いらしいから大丈夫でしょー(笑)」
さやか「ほらほら、皆さんまた話が盛り上がってきてますよ!」
健二「おっと、そうだった」
一也「そうだね。お開きにしようか」
雄大「おう。 今日は久しぶりに楽しかったよ。 また会おうな!」
さやか「また雄大さんが企画してください(笑)」
健二「頼んだ雄大! よし、俺はさやかを送ってくから。じゃあな二人とも!」
一也「じゃあねー、また会おう」
雄大「また俺が企画か! まあいいや、じゃあなー皆!」
そうして変人達は帰っていった……
※
さて、これにて変人達の物語は一旦幕を閉じます。
世の中には様々な人がいますよね。
例えばほら
正面を見て下さい。豚に人生をかえられた女や少年、蝉を美味しそうに食べる高校生がいます。
右を見て下さい。包丁で人を殺す女子高生、殺された先生や名前も付けられず虐待を受けていた少女がいます。
左を見て下さい。ゴキブリにとりつかれた男の子と身体を少しづつ失うニートがいます。
では興味のある方は後ろを見てください。決してきもちのいいものではありません。
そこにいたのは
誰ですか?
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