第8話 ニートとゲーム
興味のある方は見てください。決してきもちのいいものではありません。ニートとゲームの奇妙な話。
※
「うお! ゴキブリ!! くそー部屋掃除してないからかなー。退治しないと……」
ここで俺は思う。ゴキブリの方が俺なんかよりよっぽど頑張って生きてるな、と。そう考えてるうちにゴキブリはどこかに行ってしまった。
「はー……今回は見逃してやるよ。頑張って生きろよ」
――――――――――お前がな
「あれ? なんか聞こえた気がしたな……まあいっか」
俺は雄大。現在ニート生活真っただ中だ。大学卒業したはいいが就職氷河期と言われている現在である。俺なんかを雇ってくれる企業はどこにもなかった……。
「あーあ。暇だなー。そうだアイツから勧められたゲームでもやってみるか」
アイツとは大学時代の友人だ。そいつから無料でメチャクチャ面白いオンラインゲームがあると薦められたんだ。インターネットに接続してそのゲームを始めようとすると
「あれ? このニュース……」
――――――〇〇県✕✕市△△町の民家で白骨死体が見つかる――――――
「おいおい。俺が住んでる町じゃねーか……」
そのニュースを見てみると
「これって俺達が高校の時突然いなくなった先生のことじゃん!! 当時は〇〇高校で国語の先生……間違いない……」
あの先生は女子から結構人気があるくらいにはかっこよかった。突然いなくなったと思ったら殺されてたのか……。ぼやけてだが死体が見つかった民家の家の写真まである。
「っておい! これ健二の家じゃねーか!!」
健二とは高校三年間同じクラスで仲が良かったんだ。高校時代は同じく三年間同じクラスだった一也ってやつと健二の彼女であるさやかちゃんの四人で遊んだものだ。よく健二の家に行って四人でたむろってたからぼやけていても分かった。
「あの先生殺されたのかー。なんの恨みかったんだか。まあ女ったらしぽくはあったな」
それでも悪い先生ではなかった。授業も分かりやすく、丁寧だったし。
「久しぶりに高校時代のこと思い出したわ。なんか昔みたいに4人で集まりたいな。先生の死体がなんで健二ん家で見つかったのかも聞きたいし……。今度メシにでも誘ってみるかー」
一人勝手に計画を練ってみた。どれ、そろそろゲームをはじめるかな。
「お!? なんだこのゲームは……」
画面に表示されてるのはユーザー登録画面。そこに映し出されてる文字は
[ユーザー登録には髪の毛2万本が必要です。 同意する/同意しない]
なんかよく分からんが同意するでいいや。俺は同意するボタンをクリックした。
[ユーザー登録が完了しました。ではゲームの説明をします。下にお進みください]
俺は画面を下にスライドさせる
「えっと、このゲームはあなたが実際に勇者となって数々の強敵を倒していくゲームです。うーん、面白いのかこれ? 続きは……ゲーム内で死んでしまうと1ポイントあなたの体から支払っていただきます。なんだ? 意味分からないぞ?」
続きの文章は人間の体の部位とそのポイント数が書かれていた。
[髪の毛2万本・1 足の小指・1 その他の足の指・2 手の指・2 片手(指を含む)・18 腕・90 足・110…………]
と永遠に続いていた。
「脳と心臓は700ポイントか…………よく分かんないけど無料なんだろ? まあやってみるか」
そう思って俺はゲームを始めた。
こ、これは! なめていた…………このゲームを俺は完全になめていた。ストーリー、グラフィック、音響効果、どれをとっても一級品だった。数々のゲームをこなしてきた俺がいうのだから間違いない。
「しかも中々難しいな…………」
まだこのゲーム内で死んではいないがこれはゲーム好きな俺だからできることだ。きっと初心者では五回は確実に死んでいるだろう。
何時間も没頭してゲームを進めて行くとやっと初めのボスにたどり着いた。確かに今まで倒してきたどのモンスターより強そうだ。
「よし! いっちょ雄大様が華麗に倒して…………死んだ…………」
画面にはゲームオーバーの文字。
なんだなんだ!? 序盤にしては強すぎないか? クソッ…………この雄大様を本気にさせるとは…………
「次はもっとレベルアップしてから挑もう。うん? お支払方法だって? 無料じゃないのかよ?」
画面に1ポイント分を支払ってください。とでていたのだ。まあ有料でもこのゲームなら許せる。
[すぐに支払を行う方は1ポイント分の体の部位を選択してください。例 足の小指・髪の毛2万本 1ポイント以上の部位を選択されますと残りのポイントの数だけプレイできます。支払は100ポイント以下の部位ですと前払いとなりますのでその体の部位はすぐにあなたの体から消えます。ただしプレイヤーの皆様はそのことを忘れてしまいますのでポイントは慎重にご利用ください。]
「どういうことだ? このゲームは説明だけは分かりずらいなー。まあ足の小指にでもしておくか」
そして俺は足の小指を選択した。
[お支払が完了しました。引き続きゲームを楽しんでください。]
「なんだ? 結局なにもとられなかったじゃないか。やっぱり無料のゲームなのか?」
ゲームを開始してから五時間近くが経過していた。朝ご飯から何も食べてないから腹減ったな。
「どーれ、一回メシを食ってからリベンジしますか!」
そう言って椅子から立ち上がり歩き出す
「おっと!! 何もない所でつまずいちまった…………。もう年かなー俺も(笑)」
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