第6話 元カノと失恋

 興味のある方は見てください。決してきもちのいいものではありません。元カノと失恋の奇妙な話



「…………どうして!? どうして別れるなんていうの!? 私の何が悪いのよ……ねえ、答えてよ! 私、ちゃんと直すから! なんでもするから!」



 私には現在お付き合いしている男性がいます。彼は教師をしていて国語を教えてるみたいです。

 彼に出会ったのは奇跡としか思えません。一目惚れだったから……。彼はモテるわ。だってとても魅力的なんですもの。多分彼は……浮気してる…………。一人かもしれないし二人かもしれない。でも私は彼のそばにいたいの。ただ愛しているだけだから……。




 彼と出会ったのは豚カツ屋だったわ。休日……確か土曜日だった。近くに美味しい豚カツ屋ができたって聞いて友達と食べにいったの。そこで私は彼を見つけた……。一人で昼食をとっている彼を見つけたの。ああ、この人だ。この人が私の運命の人……。私は友達がいることなんか忘れて彼に近づいていった。


「あ、あの! ひ、一目ぼれしちゃいました! 私と付き合ってください!!」

「うん?……ああ、まあいいよ」

「…………」

「…………」

「…………えっ! 本当ですか!? 付き合ってもらえるんですか!?」

「ああ、別にいいよ。君、美人だし。今彼女は……うん、大丈夫」

「…………彼女さんはいらっしゃっらないんですか?」

「うん……まあ、大丈夫だって」

「…………」

「…………」


 こうして彼と私の交際がスタートしました。



 それから彼とはよく出会った豚カツ屋でデートをしました。私は彼に嫌われないように気を付けたし、彼の望みならなんだって私が叶えようとした。でも、付き合ったら彼が浮気してるのは嫌でも分かっちゃいました……。それでも私はかまいませんでした。

 いつもデートに誘うのは私から。会いにいくのも私から。プレゼントをあげるのも私から。……多分彼は私なんか興味なかったんだと思います。なんとか、なんとか彼に嫌われないようにと気を付けていましたが、ついに恐れていたことが起こりました。珍しく彼から私をデートに誘ってくれたと思ったのに……。


 その日、私は彼になじみの豚カツ屋に呼び出されました。

 いつもと同じ豚カツ定食を半分食べ終わったところです。突然彼から…………


「別れよう……」

「えっ……」

「別れよう、と言っている」

「なん…………で?」

「…………」

「……どうして!? どうして別れるなんていうの!? 私の何が悪いのよ……ねえ、答えてよ! 私、ちゃんと直すから! なんでもするから!」

「お前は重い」

「重いって……私はただあなたに嫌われないように…………」

「それが重いんだよ!」

「…………嫌よ……嫌……絶対に別れないわ!」

「何回言ったら分かるんだ! そういうのが重いって言ってんだよ! お前みたいな女は好きになれない」

「じゃあどんな女だったらいいのよ!」

「それは……とにかくお前みたいな女は嫌だ。お前よりは豚の方マシだ! お前は豚以下だ豚以下! 豚はまだ美味いしな(笑)頭もいいらしいぞ。まあそういうことだ、じゃあな! もう会うこともないだろうけどな!」


 そう言って彼は豚カツ屋を出て行きました。もちろん彼が食べていた豚カツ定食の代金も私が払う事になります。

 残されたのは私ともう冷えてしまった豚カツ…………


「そう、私は豚以下なの…………」


 豚カツを見つめて私はつぶやく




「豚、以下…………」










「豚…………」

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