第5話 女ったらしと日常
興味のある方は見てください。決してきもちのいいものではありません。女ったらしと日常の奇妙な話
※
「面倒だなー朝のホームルーム…………」
思わず本音を口に出してしまった。今俺は学校の廊下を歩いている。
勘違いしないでほしいが俺は生徒ではない。○○高校で国語の教師をやっている。今年は一年のクラスの担任と二年の国語の授業を受けもつことになった。
おっと自己紹介が遅れたな。名前は…………まあいいや、「先生」とでも呼んでくれ。
ああ、教室に着いてしまったよ。そりゃ歩いてれば着くけどさ…………
「はーい、朝のホームルームを始めるぞー。席に着けー」
ここからが面倒だ。
「じゃあ出席を取るからなー」
「相沢」
「はい」
「相田」
「はーい」
「五十嵐」
「はい」
「上田…………は休みな」
そうだ、休みだ! 見れば分かる! なのにうちの学校は出席を取ることを義務づけている。ほんとに面倒だが教師という立場上やるしかない。
※
「渡辺」
「はいっ」
「…………今日の欠席は1人だけだなー。遅刻はなし……と。よし、じゃあ今日の日直は……さやかだな。このホームルームが終わったら職員室の俺のところに来い。学級日誌を渡すから」
「はい、分かりました」
この学級日誌とやらも日直が書いて俺(担任の先生)に提出するのだが…………全く必要性を感じない。まあ今日はまだましだ、さやかって生徒は結構かわいいからな。
※
「失礼します」
「おお、来たか。学級日誌は…………これだな。よし、さやか! 今日の日直がんばれよ!」
「はい! ありがとうございます。先生もお仕事頑張って下さい! では、失礼します」
この女子高生は俺が話しかけるととても嬉しそうにする。俺に気があるのか? 今度は女子高生と付き合うのも悪くないな(笑)
今現在俺は二人の女性と付き合っている。いわゆる二股というやつだ。そのうちの一人と別れてこのさやかという女子高生と付き合うのもありかと思っている。
俺はモテる。どちらかというと女のほうから俺に寄って来る感じだ。最高で五股を経験したことがあるが…………これは自分が疲れるのですぐにそのうちの三人とは別れた。やはり二股がちょうどいい。女なんて顔がよければ誰でも同じだ。
そういえば…………
「あの女は…………顔だけは良かったな」
数年前に別れた女を思い出した。
その女は俺にべたボレだったのか、はっきり言って重かった。なかなか別れさせてくれないからひどい罵声をあびせて無理やり別れたっけ。確か「お前は豚以下なんだよ!」みたいな。今考えるともったいなかったかもしれない。顔だけは良かったから。
――――――――――でも俺がわざわざ会いに行くような女にはまだ出会ってないな。生きてる間には出会いたいもんだ。
おお、もうこんな時間か。二年のクラスの授業に行かないと。
※
「吾輩は猫である。名前はまだ無い。どこで生れたか頓と見當がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした…………おい、健二! おきろ!」
この健二という生徒はサッカー部に所属していて部活の疲れからかいつも俺の授業を寝ている。全く困ったもんだ。
「健二…………健二! 起きろって! お前、生物くらいしかできないいんだから国語の授業はまじめに聞かないと…………」
「アハハ、健二のやつまた寝てんのかよ」
周りの生徒による声がけでやっと健二は眼を覚ました。
「おお一也…………なんだよ? 気持ちよく寝てたっていうのに…………」
この生意気な生徒はまだ寝ぼけて状況が理解できていないらしい。
「よーし、授業を再開するぞー。今読み上げた夏目漱石の“吾輩は猫である”の冒頭は超有名だからテストに出されても文句言えないなー。皆、ノートをとっておけよー」
「うえ! テストでるとこなの!? ヤバいヤバい! 俺いつも赤点ギリギリなのに!!」
「まったく…………じゃあ寝ていた健二君のためにもう一度読み上げる。皆も付き合ってくれ」
クラスが和やかな笑いで包まれる。
俺の日常なんてこんなもんだ。つまんないもんだろう? 少し変わってるところはあるかもしれないが…………
「はいはい、静かにしろ。じゃあもう一度読み上げるぞー」
「吾輩は猫である。名前はまだ無い。どこで生れたか頓と見當がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした…………」
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