第4話 幽霊と猫

 興味のある方は見てください。決してきもちのいいものではありません。幽霊と猫の奇妙な話。



 私は猫よ。名前はまだないの。


 どこかで聞いたことあるですって?そんな人間の事情は知らないわ。


 私はもう大人よ。もうご飯ネズミの獲り方もトイレの仕方も分かるわ。これは全部先生に教えてもらったのよ。


 でも最近家から別の所に移されたの。私が悪いことしたからかしら?ご主人様は私が泣くと叱るから…………。ご主人様はここにはいないわ。先生もいないの。先生はジョーブツでもしたのかしら?ここにいるのは人間の子供達だけ。


 じゃあなんでこうなったかを先生と出会った時から話すわね。











「…………あなたはだーれ?」


  うお!?ビックリしたー。…………お前、俺が見えるのか?


「見えるわよ。どうして浮いてるの?なんか透けてるし。ご主人様はそんなことできないわ」


  ご主人様って…………ああ、あの性格悪そうな女か。俺は死んだんだよ!殺されたの!!クソッ、女子高生なんかにちょっかい出さなきゃ良かったぜ


「ふーん…………。ねえ、なんか食べ物なーい?私、とってもお腹すいてるの」


 そのご主人様にもらってないのかよ?


「もらってないわ。猫は自分で獲物を獲るんだって言われたから」


 …………。猫ならネズミでも獲ればいいじゃないか。たしかあのタンスの裏にネズミがいっぱいいたぞ(笑)全くぼろい家だな、ここは


「どうやって獲るの?」


 それは…………。バッ、てやりゃ獲れんじゃね? 


「ふーん。やってみるわ。…………バッ…………獲れた!!凄いわ!!あなたいろいろ知っているのね。ねえ、私の先生になってちょーだいよ。私、ご主人様以外の人間に会うの初めてなの」 


 うえ、本当に捕まえんなよ…………。お前…………イジメられてるのか?体から血がでてるぞ


「しつけだって言われたわ」


 …………。まあ俺は死んでるから関係ないけどな。どれ、そろそろ他の家でも覗くか。成仏する前に楽しんでおかないとな。あばよ


「…………いっちゃった。もっといろいろ教えてほしかったのに…………。まあいいわ、久しぶりのご飯がとれたんだから」






 おいおい。気になって戻ってみれば…………。お前なー、ウンコとかオシッコは決まった場所でしろって!


「でもご主人様はこの部屋からでるなって…………」


 今はいないんだろ? じゃあいいんだよ!


「でも…………」


 いいから付いてこい!…………いいか、ここでするんだ、分かったな! 


「分かったわ先生。先生はいろいろ知ってて凄いわ」


 先生って…………。お前、名前は?


「名前はまだないわ」


 なんだそのどっかで聞いたことあるセリフは…………。


「私は聞いたことないわ」


 分かった、分かった。俺がなんとかしてやるからまってろ、誰かの耳もとで叫べば霊感の強い人なら気付くだろ


「レーカン? の強い?」


 お前みたいなやつのことだよ!まあもう少しの辛抱だ。今度こそ本当にサヨナラだからな、じゃあな!


「…………いっちゃった。シンボーってなにかしら?」





 そして今度こそ先生は戻ってこなかったわ





 それから何日かたったころよ。私がこの場所に連れてこられたのは。なぜかその日は人間がいっぱい家にきたわ。









「開けろ!警察だ!!この家で女の子が虐待を受けていると連絡があった!!」


「う、家には子供なんていませんっ!!ね、猫です猫!!名前はまだありませんが…………」


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