第19話 外の世界、私の国。

ドッコイはその時、一つの考えがわきました。双子の兄のスットコの姿を見たら、急に勇気がわいてきたのです。

 ドッコイは抱きついているスットコをはがすと、すたすたと女の子(それとも王女さまと呼ぶべきでしょうか?)の方へと向かいます。

 女の子、王女はいぶかしげな赤い瞳でドッコイを見ます。


「君、君はここから出ていこうよ。そして外の世界を見るんだ!」


 ドッコイは震える足、汗ばんだ手でそういいました。もちろん本当はつっかえつっかえでしたけれども。


「そと?」王女はぽかんとした顔で返します。


「そう、外だよ。お日さまがあって、風が吹いて、雨がふって、花が咲いていて……それから」

 そこまで言って、ドッコイは悟ります。王女が何も反応していないことに。

 ドッコイは焦り始めました。

「えーっと、だからさ、その、何というか、ここにいてここだけを見ていたらなんだかよく分かんないっていうかその……」


「お前の言っていることこそ、よく分からないゾ」王女はそういいます。

「ワタシも外というのがどんなところなのか見てみたい気はするけど、別にどうしてもっては思っていなイ。それにこの国はいいところなんだ、とっても、とっても」

 そういうと王女はキシシっと笑いました。そんな王女を女王さまは手招きします。 王女は女王のさまの元へと駆け寄ると、そのお腹を抱きしめます。「その通りです、あなたは私のあとを継いでこの国をより大きくしていくのが役割。えらいわ、よく分かっているのね」女王さまは優しい笑顔で王女の頭を撫でます。


「人の子よ、あなたたちは自由があります。けれどもその自由は何でもできるということではありません。特にほかの生き物にあなたたちの倫理を、――あなたが良いと思うことを押し付けるのはおやめなさい」


 ドッコイはしゅんとした顔をします。スットコはわけが分からないとい顔でしたが、ドッコイが何かヘマをしたらしいということが理解できましたので、どこか楽しそうではありました。      

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