第18話 ドッコイの決意

ドッコイは口をとがらせます。「そんなこと言われても……」人が自然を壊していく、そんなことを、ドッコイに言われてもそれは本当に困ります。 

「いえ、ドッコイさん、それを悪いと言っているのではありません。それがヒトのサガというものなのです。そして同じように私たちには私たちのサガがある。そういう事、それだけのことなのです」


「だけど……」ドッコイがそう言った時のことです。


 突然!


「ドッコイのバカヤロウはどこだ!!」大きな大きな声が響きました。その声の持ち主を当然ドッコイは知っています。


 フードをかぶった召し使いがあわてて走ってきました。


「女王さま、姫さま、すみません。スットコさまをお連れしたのですが、途中で怒り始めてしまいまして……」

 その言葉を最後まで言う間もありません、開け放しになったままの扉からポーンとフードをかぶった召し使いが投げ飛ばされるのが見えたのです。


「ドッコイはここか!?」

 鼻息も荒く女王の間に現れたスットコの腰には召使たちが4人ほどもかじりついていましたが、フン、とスットコが腰を振ると吹き飛ばされてしまいます。どうやらこの街の人たちは見た目よりもものすごく軽いようです。怒ったスットコの敵ではありません。

 そんな怒り散らしたスットコはそれでも「こんにちは」と一言あいさつしてからずいずいとドッコイの元へとやってきます。このパターンはあれです。いつも兄弟げんかになって、最後はお母さんに頭をぽかりとたたかれる、そういう状況でした。『こうなるとスットコは言うこと聞かないからなあ』とドッコイが思っていると、怒った顔で近づいてきたスットコの顔がくしゃっと崩れました。

 つうっと鼻水が一筋流れます。それと同時に涙も。

「ドッゴイ―、どご行っでだんだよー、ざみじがっだよー」

 スットコはそう言うと、ドッコイをぎゅっと抱きしめました。ドッコイもつられてぽろりと涙を一粒こぼします。


 そして、ドッコイは決意しました。

 スットコと一緒になったら、急に勇気がわいてきたのです。        

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