15.盛れ出番

 車の中。二人きり。

 これがクラスメイトで恋愛フラグだとしたらそれはそれで困るが相手はネロである。もっと困る。

 さらにさっきから、

「モレデバン……モ・レ・デバーン……」

 出番を盛れ、そういった意味の言葉を呟いている。

 構っている描写無くてごめんな。

 ってどこのウェブ小説だよ、と自分で思い直しつつ、話しかける。

「あのー、ネロさん?」

「デバンキター!」

 片言のようにしゃべるのはやめて欲しい。

「じゃなくて、何だ?」

「とりあえずキャラを作るのをやめろ」

「あっはい」

 聞き分けがよろしい。

 とりあえず説明した。

「かくかくしかじかで、これそれあれどれな訳でほにゃららなのよ」

「うん分かった」

 通じたらしい。

「で、瞳さんはどう思うかってこと?」

「いえす」

「簡単じゃん。連絡取ればいい」

 そうだった。よってリサエルに電話を掛けた。

「はい、なんでしょうかー?」

 また説明する。

「かくかくしかじかで以下略」

「分かりました!」

 なんで通じるのか謎である。

 ケンタッキ〇はこちらでお出ししておきますね、と言われて電話が切れた。

 監視でもしているのだろうか。こんな家族のルールを。天使も暇だな。

 そしてその間、「モーレ・デバーン」とぶつぶつ言っていたネロがいたことは忘れない。

 父さんが戻ってきて家に帰る途中の車で色々はしゃいだネロは家に帰ると父さんのゲンコツが入った。

 あまり車を揺らすな、とのお触れであった。

 そして夜が来た。帰ってきた母さんは靴を脱ぐが先かしゃべるが先か、

「ほう、お主がネロか」

 と言い放った。完全に知っているようでした。


 _____


 ネロ「MORE DEBAN」

 瞳「MORE DEBAN」

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