9.という訳で
「ぬ?」
とぬかすネロの腕を掴んでソファーに座らせる。
「一週間、お前はこの世界に留まることになった訳だが」
「ふー」
「生返事はよせ」
「ほー」
「今は晩御飯の後だ。もう寝ろ」
説教を始める。正直なところ、風呂に入りたいのだ。色々あったし。
「えー」
対して相手にしていないような気の抜けた声が返ってくる。
「お風呂入ってない……」
ネロの目から光が消えた、気がした。
テルマエ・□マエかよとぼやきつつ、
「じゃあ入って来い」
やっぱり俺は妹に甘いのではないだろうか。
ネロが風呂に入ったあと、俺はリビングの床に突っ伏していた。
当たり前だった。ネロは洗濯機やシャワーなどを知らないからそれではしゃぐのは月が丸いことよりも明らかだったのだ。
さらに着替えである。
一応男と女同士。思春期に突入しはじめたあの姿ではしゃがれたらたまったもんじゃない。……あれ? 俺、シスコンなのか?
ある程度自重しないといけないのだろうか。
風呂で心と体を洗った後、俺は言葉を失った。
リビングが泥棒の襲撃にあったかのように荒れていたのだ。
真ん中で服やら服やらカーテンやらその他色々を巻き込みながらもぞもぞ動くのはおそらく
時代が変わると色々遊びたくなるのだろうか。だれかおしえてえらいひと。
ネロを引っ張り出すのには小一時間かかった。一体どんな動きをしたら布が完全な球体になるのだろうか。
「ごめんなさい」
謝ったのでこれ以上はやるなと釘を刺し、一週間どうするかを尋ねる。
「んー養ってもらう」
「誰にだよ」
……無言で指を指すのはやめてくれ。
ため息一つついてからしょうがないとぼやく。
「一応妹だから、な」
「やたっ」
その後はもう寝ろという言葉にも素直に従い、一日目は終わった。
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