7.電話SideA

 私としたことが、天使の力を使うことを忘れてあたふたしてしまいました。

 はい。力を使えば良かったのではないかと一通りレクチャーを受けた後に瞳さんが言ってこなければ完全に忘れてました。

「……で、このボタンを押す、と」

 そして今はもう一度電話のかけ方を一通りおさらいしたところです。

 ほ、ほら、何事にも確認はした方がよろしいと判断しました。

 まだ少しテンションが変だな、と頭の片隅で思っている自分を感じながら、電話をかけました。

「もしもし」

 ツーツーといった無機質な音の後に流れてきたのは少し無愛想な声。

「あ、はいもしもし」

 何せこんなことは初めてです。なので少しばかり男性受けの良い声色にするのは当たり前だと思います。具体的に少し媚びるように。

「…………」

 そして沈黙が流れます。

 どうすれば良いのでしょうか。

「……あの、どちら様?」

 彼がそんなことを言ってくるまでに5秒。どうやらこちらの出方を探っていたようです。

「あ、すいません! 私は、リサエルといいます! い、一応天使やってます!」

 天使は基本的に上司の名前をもじって名前をつけます。私の上司は死を司るサリエル様なので、ひっくり返してリサエル。エルは天使に共通する名字みたいなものです。

「……天使が何のようです。こっちは今忙しいのに」

「あなた、本巣隆也さんですよね? おそらく今、そこに妹さんはいないはずです」

「……人違いです」

「え」

 ……どうやら、私は一度ミスをするととことんミスが続くタイプのようです。

 ちなみにその後はもう瞳さんに連絡をとっていただきました。


 _____



 そろそろ隆也視点に戻るハズです。

 たぶんおそらくきっと。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る