5.一方その頃

突然ですが、私は天使です。

はいそこ笑わない。本当に天使ですから。

羽だって生えてますし、空だって飛べます。人間には扱えないような魔法(といっていいのかは分かりませんけど)だって使えます。

でもそんな私でもこの子の件には苦笑いしてしまいました。

「嫌だいやだいやだ嫌だアイス食ーべーるぅー!」

そう、今この瞬間私の前で、駄々をこねている少女、本巣瞳もとすひとみさんの件です。

……ええ、このアイスを食べたがっている少女、本巣瞳さんの件です。

何があったのか説明しましょうか。

三十分程前でしょうか。彼女が私のところに送られて来ました。

あ、言い忘れてましたが、ここは死者の魂が集まるところ、まぁ、『門』とでも呼びましょうか。

ここの門から死者は天国へ行くか、地獄へ行くか、私達天使や鬼に裁かれるのです。

話がそれてしまいましたね。

さて、この本巣瞳さんは、まだ死んでいません。

まぁ、担当の天使か鬼が間違えて魂を連れてきてしまったのでしょう。

人間じゃなくたって、誰だって間違いはあります。

しかしこんなことになるのは稀です。

……私としたことが、間違えて瞳さんの前世であるネロ・クラウディウスの魂を現世に送ってしまったのです。

前世と今世と来世の魂はよく似てしまうので、しょうがないです。許してくださいね。


そして彼女を現世に返せなくなり、彼女の好きな『あいすくりぃむ』なる代物が食べられなくなったのです。

ちなみに戻すのには一週間ほどかかります。

そのことを知らせたら、彼女が駄々をこねるようになってしまったのです。

とりあえず、現世と連絡は取れるようにしなくてはいけないのでしょう。

私はそう思って、連絡手段を探し始めました。


_____



ドSポンコツという属性は無いですかね……

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