ヴェリテ

天上にて一縷の望みを地下に見る。

拙い望みは溌剌と大人への道を駆けて行く。


「自由を叫べ!」


天上の彼は叫ぶ。


「自由を尊べ!」


地下の彼女は共鳴する。


天上にて彼は恋い焦がれた。

自由を愛し、自由を尊び、自由を疑わない地下の彼女に。

地下にて彼女は恋い慕う。

自由を与え、自由を守り、自由を信じ続ける天上の彼に。

響き合う二人の鼓動。


「出会いのときは来たれり」


天上の彼は翼をはためかせる。

地下の彼女を思って。

地下の彼女は走り出す。

天上の彼が辿り着く場所へ。


天上の彼は翼を失った。

しかし地下の彼女を手に入れた。

地下の彼女は声を失う。

しかし天上の彼と邂逅を遂げる。


最後の審判の日まで愛が失われないのは、なぜだろう。自由を尊ぶのは、なぜだろう。

その答えを探すことが人生だと私は思う。

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