用語録



 『空の勇者と祈りの姫』に登場する用語を簡単に纏めてみました。



・26世紀地球


 惑星改造技術と、超光速星間航法の確立により外宇宙への進出を活発化させるが、銀河中心に未知の生命体反応を捉える。調査船団を派遣するが壊滅。数少ない生き残りの貴重なデータから人類存続にかかわる超敵対種族へ認定。対策を講じる。

 αケンタウリまで進出した地球人類だが、移民計画を一時中断。太陽系内の冥王星を最終防衛ラインに定め、軍事力を増強。有効的兵器を模索。調査団が持ち帰ったデータの中に、犠牲になった船の残骸を調査中、付着した敵対生命を確保。様々な観察結果、極めて兵器転用に魅力的な素材と判断。多くの反対意見を説き伏せ、一部の兵器に転用する。



・地球統合政府及び地球統合軍


 最初は艦隊戦による大火力戦を行うが、物量の差により効果的と言えず、巣の中枢を破壊すれば、端末兵は著しく行動を制限されることに注目し、艦隊を囮にして、少数の潜入破壊部隊を送り込み、中枢破壊を目的とする作戦にシフト。犠牲は多いが確実な戦果が期待できるので、以後この作戦が基本骨子として採用される。

 しかし学習機能も持ち合わせており、おなじ戦略を返され地球に甚大な被害をもたらす。地球に帰還した軍に、擬態潜伏して都市部で急速に感染拡大し、都市をまるごど汚染。それを複数同時に行い、被害が拡大。

 最終的に滅菌作戦により都市を核兵器で焼き払う。被害は極めて大きく、10億人が犠牲になる。以後汚染地域に指定、隔離される。


 元来増えすぎた人口を移民より外へ送り出していたことで分散していた人口が、被害を拡大。各地で襲撃が相次ぎ、100年間で犠牲者は50億人を軽く超えると言われる。


 それまでは各国ばらばらに行動していたが、強固な結束が必要と判断。氷薄の交渉の結果、地球統合政府を立ち上げ全人類が一枚岩となる。問題も山積みだが、一応の結束を見せる。移民した火星や木星の衛星都市なども加盟している。

 防衛戦と侵攻戦を繰り返す一進一退で犠牲も多いがどうにか拮抗状態を構築するが、度重なる戦乱で経済は冷え込み、倒しきれないという現状から厭戦ムードが常に漂っている。しかし、相手は交渉の通じない生命。生存競争のため、みな受け入れている。


 しかし100年は長く、人口も乏しくなり、戦果を重視するために、非人道的な兵器が横行。初めは法律によって規制されていた技術も実績を重視して合法化。戦闘種族へと変貌していく。人体改造を初めとし、クローン培養に脳髄だけを取り出し、兵器に直結。ありとあらゆる技術を使用し対抗している。特にいくらでも湧いて出る「ライブ」を利用した兵器を開発。歯止めが効かなくなる。

 その流れを危惧した統合政府や軍上層部は、対ライブ最終作戦を立案。決死隊を用い、銀河中枢の「ライブ」の女王破壊を行う。



・ライブ


 銀河中枢に生息する生命体。極めて繁殖力が強く、雄雌の区別なく繁殖する。あらゆる物質を捕食し、繁殖に使用する。その時、副次的に膨大なエネルギーを生む。一種の増幅装置としても運用可能で光学兵器のジェネレーターにも転用可能。

 戦艦や空母の動力源にも使用可能で、艦載兵器にも使用される。

 艦載機の主兵装にして動力炉。光学チェーンで有線接続しており、接触した対象を喰らいつつエネルギー補給する。攻撃にも防御にも補給にも使える万能兵器。レーザーによる遠距離攻撃にも対応。反面、主武装を失うと途端に戦闘力を失い、補給もままならないため過信は禁物。

 地球の科学技術はこのライブの生態を利用して原子変換機構を実用化。任意の物質を自在に生み出す錬金術めいた手法を確立しており、大抵の物質を生産可能。長期間の遠征でも物資不足と、ほぼ無縁になった。




・V-3 超汎用宇宙戦闘機 搭乗者1名


 地球統合宇宙軍で制式採用されている戦闘兵器。宇宙戦闘機と名付けられているが、極めて高い汎用性を持っており、宇宙以外にも大気圏内の飛行から、水中活動に火山内部のマグマ遊泳、木星級の超重力圏内での運用も考慮されている超汎用機。

 操縦には搭乗者(以下ドライバーと呼称)と神経接続による思考操作制御を採用。必然的にドライバーは人体改造が必須になる。尤も地球統合軍の軍人は全員が人体改造を施されているので、あまり関係なかったりする。

 主兵装は『ライブ』兵器アンカーと実弾兵装のレールガン。機体上部に大型『アンカー』を、下部に小型『アンカー』をそれぞれ一基搭載している。



・V-3E 主人公機体 情報管制型電子戦機 搭乗者1名


 高い情報分析能力と管制能力を持つ電子戦機。戦闘機隊の指揮の要。小型端末を複数操作して前線から情報を集めて、それを元に分析。隊長機に送信、指示を全隊員機体に飛ばすデータリンクシステムに秀でる。特に脳神経部位の人体改造比率の高い騎兵隊員が選ばれやすく、情報処理能力を最優先としている。反面、単機の戦闘力は標準機より大幅に劣る。『ライブ』兵器の搭載スペースにレドームと小型端末が乗っているので武装が貧弱。一応副兵装に小型『アンカー』を一機機体下部に搭載しているので自衛は可能。



・ライブ兵器アンカー 


 捕獲されたライブに制御機構を埋め込んで兵器化したもの。物質と接触すると、どんな物でも捕食して繁殖する。その時膨大な熱量を生む特性を利用している。制御されたライブ兵器は繁殖せず、エネルギー生産を行うか、捕食した物質を複製するように制御される。この為、機体のジェネレーターに光学チェーンで直結され、補給が行える。武装は主にレーザーか膨大な熱量をそのままぶつける火炎放射器。光学チェーンにも熱量が備わっており、破壊能力は僅かだが有している。



・神術


 神術と呼ばれる超常の力を持つ者がまれに生まれる。血筋などは一切関係なく一定確率で生まれる。大体1万人に一人ぐらい。一生知らずに過ごす事も多く、戦力化は困難。体系化もできず使いにくい。

 神術=土水風火を操ることが出来る者が多い。精神感応系の術者もいる。中には空間操作や時間操作系の術者もいたらしいが、現在はいない。と言うより、あくまで伝説の類という扱い。ドナウ王国の初代国王はこの時空間神術の使い手と言う伝説がある。

 文明レベルが低い事を差し引いても、研究サンプルが少ないので、原理や発現条件が謎とされている。ドナウ王国では建国王が使い手という伝説があるので迫害されないが、他国の中には露骨に迫害や排斥を受ける事がある。



・脚竜

 

 体高150cm程度の二足歩行の竜。草食だがやや気が荒い。野生種は人に懐かないが、生まれた頃から人に慣らせば家畜として騎乗にも利用できる。成体まで3~4年ほど掛かり、訓練も合わせれば5年程度が戦力化の目安である。

 地球でいう所の馬に該当する生物であり、軍用から農耕用、あまり一般的ではないが食用にもなる家畜。

 外見は小型のティラノサウルスの様な姿。ティラノの祖先であるコエルロサウルスに近い遺伝子を持つ。あるいは進化過程の種族の可能性がある。



・甲竜


 体高200cm程度の大型四足の竜。草食で脚竜に比べるとかなり大人しい性格。こちらも野生種は人に懐かないが、幼少期までに人が育てれば家畜として使役できる。

 軍用にはあまり適さないが、大人しく粗食に耐え、力がかなり強いので、農耕用や物資運搬用に好んで使われる。こちらは成体まで6~7年ほど掛かるので、補充の観点から軍用に適さないと思われる。ただし大量の物資を運ぶ輜重隊は重用している。

 外見は地球で言うトリケラトプスにかなり近いどころか、遺伝子的には同一である。



・翼竜


 翼開長7~8mの大型飛行爬虫類。脚竜や甲竜と違って陸上ではなく、元は海辺に住んでおり、魚を主食とする。人を襲う事は無いが、やはりふ化させた当初から慣らさないと、人に懐かない。

 長時間の飛行が可能でだが、個体数がかなり少なく、民間では殆ど使役されない。ドナウ直轄軍が100頭ほど管理しており、全て偵察部隊で使用している。

 地球の白亜紀に生息していたプテラノドンの遺伝子とほぼ一致しているが、地球生息種と違い非常に力が強いので人間二人を乗せて飛行できる能力を持つ。



・フィルモ歴


 ドナウ王国で使用している暦。初代建国王フィルモが制定した暦で、舞台になるアラタがやって来た年はフィルモ歴492年になる。



・ニックの種


 アーモンドに近いナッツ類



・レイムの実


 クルミのような食感の木の実



・ディッシュの実


 リンゴに近い味の果実。赤くない



・シークの草


 アルカロイドを多量に含む草。鎮痛薬の材料になる。




・ドナウ王国


 一農民だったフィルモが建国した専制君主国家。海運に力を入れており、主要な港を全て抑えて直轄領にしているので王家は金持ち。さらに国土の大半は直轄領なので地方領主の力が弱く、反乱が起きてもすぐに鎮圧出来る。直轄軍一万二千、地方領主軍五千、近衛騎士団千、海軍三千を有し一年を通じて戦争の出来る、西方では先進的な軍事体制を敷いている。

 伝説では始祖フィルモは神術により呼び出した『異郷の勇者』とともに悪政を敷いた王を打倒して建国したと伝えられている。ただし、その勇者の事は殆ど伝承に残っていないので、存在は疑問視されている。



・ホランド王国


 元は遊牧民だった草原の民が定住して建国した王国。ドナウ以上に王家の力が強い軍事国家で、ホランド人の男は幼少期より軍事教練に明け暮れている。特にドミニク王に代替わりしてからの二十年は覇権主義に傾倒しており、総勢十万の兵士と精強な騎竜兵を揃えてアルニア、リトニア、プラニアを次々と攻め落として併合した。併合された国の国民は全て下層階級に落とされ、農奴や鉱夫として使い潰されている。

 質実剛健を絵に描いたような国政で、軍事を優先しているので文化や商業には殆ど力を入れていないが、文官の地位はそれほど低くない。大軍を効率的に運用するのにも書類が必要な為、指揮官は勉学が必須だからである。



・サピン王国


 国土の半分以上が山岳地帯の加工貿易国家。ドナウと同じように交易に力を入れているので、ライバル関係にあり仲が悪い。山岳地帯からは金、銅、鉄が豊富に採掘できるので、それを加工して販売している。金銭的に裕福で、豊富な貴金属を装飾に用いているので文化的には西方で一番進んでいるが、軍事面はお寒い限りである。

 封建的統治からか王家の力が弱く、貴族の力がかなり強いので、貴族間の利害調整を怠ると簡単に王の首が挿げ替えられてしまう。



・ユゴス王国


 ドナウと交易で関係の深い国家。南のレゴス王国は元々ユゴスの国土だったが、数百年前に王家の内部対立が原因で袂を分かち、国の中央を走る山脈を境に二つに分裂。以後、レゴス王国として長年対立してる。



・レゴス王国


 サピンと交易で関係の深い国家。北のユゴスと数百年対立しており、互いを不倶戴天の敵と認識している。





・神


 アラタが便宜上そう呼んでいる、人間が知覚出来ない超上位存在。惑星創造技術や、時間と空間を自在に操る力を持っているとアラタは予想している。人間や動植物、太古の時代の恐竜などを用意した地球型惑星に放り込んで、何かをさせているらしい。

 アラタは憶測だが、この存在がライブを生み出し、地球人類を滅亡寸前にまで追い込み、自身を西方に転移させて弄んでいると確信し、溢れんばかりの憎悪を向けている。

 ただし特別証拠は無い。



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